行政と企業が提携 図書館再建の新しい仕組み 陸前高田市図書館ゆめプロジェクト

岩手県陸前高田市は、被災した陸前高田市立図書館の再建に向けて、古本販売業のバリューブックスと共同で「陸前高田市図書館ゆめプロジェクト」を立ち上げた。

同図書館は約8万冊の蔵書を津波ですべて失い、現在も再建のめどが立っていない。今月始まった同プロジェクトの仕組みは、次の通りだ。まず、図書館再建を支援する個人や企業は、不要になった書籍を古本としてバリューブックスに寄贈する。同社はそれを査定し、寄贈主に代わって、買い取り金額を図書館再建のための資金として、陸前高田市に寄付する。寄贈された書籍は、同社がインターネットで古本として販売する。申し込みは5冊以上からと、個人でも気軽に協力できるようにした。

陸前高田市図書館ゆめプロジェクト

「震災後、市役所には図書を寄贈したいというお話をたくさんいただきました。しかし図書館という受け入れ施設自体が全壊したため、保管できるスペースもなく、再建するまでは断らざるを得なかったのです」。中心となってプロジェクトを立ち上げた、陸前高田市副市長の久保田崇氏はそう話す。「けれども全国の厚意を無駄にしたくないとの思いから、このような仕組みを作り上げることができました。全国のみなさんとバリューブックスさんに、深く感謝しています」と久保田氏。図書館の1日も早い再建が待ち遠しい。
また、6月1日には陸前高田市に先んじて、大槌町は小鎚の中央公民館内に、震災前を上回る蔵書6万冊の「城山図書室」を開設した。読書は、知性や夢を育む何にも代え難いもの。これらの先例を参考に、今後他の地域でも図書館再建が進むことが期待される。

■陸前高田市図書館ゆめプロジェクトHP http://books-rikuzen.jp/

文/江藤 詩文

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