三陸鉄道 JR東日本14年の全域復旧を目指す BRTによる代替輸送を提案

三陸鉄道とJRの比較表  鉄道復旧とBRT復旧の比較表4月1日に第3セクター・三陸鉄道株式会社は、北リアス線の陸中野田~田野畑間で運行を再開した。全区間107キロメートルのおよそ半分が開通、20年の全線復旧を目標に掲げている。一方、JR東日本は、3月17日にJR八戸線(八戸~久慈間)を全線再開したものの、被害を受けた山田線、大船渡線、気仙沼線など多くの沿線では再開のめどが立っていない。

この大きな方針の違いは、国からの費用補填の違いだろう。もともと赤字であった三陸鉄道には、全線復旧に必要となるされる100億円超もの費用のほぼ全額を国が補填するが、黒字経営であるJR東日本には全域復旧に必要とされる1000億円規模の費用を自前で負担しなければならない。

しかし全線復旧が決まっている三陸鉄道にも課題は多い。全盛期には年間270万人を誇った三陸鉄道の輸送人員も震災前には90万人を切っており、年間1億3000万円以上の事業損失を出していた。震災の影響を受けた昨年度はさらに1400万円ほど損失が増えた。もともと過疎化によって輸送人員が減っていたところに加えて、今回の震災で連携するJR線の復旧の先行きも見えない状態。より難しい経営の舵取りが求められる。

沿岸部の鉄復の復旧に向けた検討体制JR東日本も、各路線の収支こそ公表していないものの、沿岸路線は三陸鉄道同様に赤字が予想される。民間企業として赤字路線を1000億円かけて復旧するのが困難であることは想像に難くない。JR東日本が、目下、代替案として提示しているのがBRT(バス高速輸送システム)だ。BRTとは、専用道路を通るバスのことで、もともと電車が走っていた線路上を定期運行のバスが走ることを想定している。線路敷設の手間が省けるため、復旧の費用を抑え、期間も大幅に短縮できるという。

輸送面での経済的な合理性を追求するならBRTに軍配が上がるが、「鉄道を復旧してほしい」というのが地元市民の素直な気持ちだ。鉄道復旧に関する明言を避けBRTでの復旧を推してきたJR東日本だが、5月には気仙沼線が鉄道復旧の前段としての「仮復旧」ということを明確にし、これによりBRT導入に沿線の自治体が初めて同意した。

各地域ともローカル線とともに長い歴史を重ね、地域性を生み出し、国道が整備される前はまさに移動・輸送の動脈として機能してきた「公共性の高いインフラ」なのだ。被災地域からの鉄道への要望は強い。

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