平成27年3月に被災地での緊急雇用制度は終わる。復興に向けた外からの支援や制度は3年後にはなくなる。真の意味で”復興”を果たすには、3年以内に長期にわたって機能する社会システムが被災各市町村で確立される必要がある。民間と行政、被災地内外といった区分と関係なく、NPO・行政・企業が一丸となって地域にコミットすることが求められている。
しかし課題も多い。NPOは長期にわたり活動するための資金・人材が不十分であり、活動数は昨年5月の10分の1程度に減っている。行政との情報連携が十分ではなく、支援に偏りもみられる。行政による支援は、道路・港湾整備などハード面は強いが、雇用支援など見えにくいソフト面での支援は遅れが見られる。慢性的なマンパワー不足に悩まされるが、他セクターとの連携は進んでいない。企業の支援活動も、広報面での成果が強調され、復興に実際どの程度貢献できたかの評価は不十分である。
一方で、長期的に機能する支援も生まれつつある。NPO法人カタリバは、放課後学習支援のナイトスクールを宮城県と岩手県で運営している。現地教育委員会と共催し、地元教育関係者を雇用した持続性の高い仕組みとなっている。岩手県大船渡市では県・大船渡市・NPO・人材派遣会社が連携し、仮設住宅支援事業を運営している。国の制度を活用して、ノウハウは民間が提供している。
NPOは新しいモデルをスピーディに立ち上げる力を有する。行政や他団体の動きを理解した上で、持続できる支援を進める必要がある。大手企業・財団は実践的なノウハウや資金力を持つ。PR面での成果だけでなく、復興に向けて意味のある指標を設定し、戦略的に民間団体を評価・支援することを重視すべきである。市町村は復興の主体としての役割が大きいが、意思決定や事業実施を独力で行う余力はない。コミットメントの高い民間組織の力を活かしながら復興計画を推進すべきだ。これらを通じて各セクターが一同に会し、持続的で意義ある支援を進めていくことが重要である。
2011年が終わり、3月11日の一周忌もすぐに過ぎる。一般の関心は既に弱く、復興の言葉を出せば煙たがられる。その中で、引き続き復興に関係する方々の役割は大きい。改めてそうした皆さんに敬意を表すると共に、相互の連携をさらに深めさせて頂きたい。
書き手:
藤沢 烈 一般社団法人RCF復興支援チーム代表理事、東日本大震災復興対策本部非常勤スタッフ。facebook:藤沢烈、twitter:@retz