「NPOや市民団体は、自治体と積極的な連携を!」紅邑晶子さん

紅邑晶子さん

紅邑晶子(べにむらあきこ)さん
特定非営利活動法人 せんだい・みやぎNPOセンター代表理事
広告企画・制作、編集、コピーライター等の仕事を経て、95年にNPOの研究会に参加。97年、せんだい・みやぎNPOセンターを立ち上げ、理事・事務局長に就任。11年3月より代表理事に。

 せんだい・みやぎNPOセンターは、震災1週間後の3月18日に、みやぎ連携復興センター準備室を立ち上げました。当時は私たちも沿岸被災地の情報を十分に得られていない状況でしたが、過去の震災を教訓として、被災地に入ってくる様々な団体と被災地側の団体をつなぐ機能が必要になるだろうと推測されたからです。

 立ち上げ後すぐに色々な支援団体からコンタクトがありました。これから支援に入る団体が現場の状況を聞きに来たり、炊き出しなどの支援を開始している団体が情報を持ち寄ってきてくれたり……。そして、集まった情報から判断した結果、それぞれの特長を持つ5つの団体が一緒になってみやぎ連携復興センター(以下、みやぎ連復)を3月25日に立ち上げました。

 みやぎ連復の役割は、「支援したい人・組織」「支援物資」と「支援の受け入れ側」をつなげること。今回の震災で全国から多くの方々が支援を申し出てくれましたが、具体的な話となると、「どこに支援が必要?」「どこに物資を送ったらいい?」という状況でした。これを適切な支援先とつなげて、需供バランスを取る必要がありましたので、みやぎ連復5団体に加えて、その他のNPOや行政関係者や企業が必要に応じて参加できる情報交換会を6月までは毎日、以降も週1回のペースで行っています。

はばたけファンド設立被災した団体を助成

 当組織としては、11年の4月下旬に「はばたけファンド」を設立。これはすでに9年間運用してきた「みんみんファンド」を震災用に適用したものです。第1次助成では、被災して活動ができなくなっていた3団体と炊き出しなどの支援で現地に入っていた1団体に活動資金として合計110万円を助成。その後は、寄附を募って、2次助成、3次助成を通して計およそ600万円。今は4次助成の準備しています。

 はばたけファンド以外にも、被災地の団体への資金支援約1000万円近くを行いました。具体的には、資金提供を検討している東京の助成団体などへ、普段から色々なNPOや団体とのつながりやしくみを持つうちのような組織が情報提供することで、円滑な資金支援が実現したのです。私たちがやっているのは後方支援。その方法が、情報なのか、場所なのか、お金なのか……色々な情報を俯瞰的に集めつつ、活動している団体が欲しいものを見つけてきてつなげます。これは、震災前からも行ってきて、震災後も、そしてこれからも変わらないスタンスです。

まだ必要な支援が、 継続される仕組みを!

 復興のフェーズの移り変わりによって、役割を終えた支援もあれば、まだまだ必要な支援、新たに必要なった支援もあります。もともと地元にあった団体が少しずつ活動を再開してきている一方で、1年目の3月11日を契機に県外に拠点を持つ団体が引き上げ始めることが予想されます。目下の課題は、これまで現地で支援してくれてきた人たちの活動を、いかに現地の団体に引き継ぐかです。私たちは、そういった団体がお互いに顔を合わせる場を作って、マッチングとノウハウの受け継ぎを地道に進めています。

 また、民間と行政の連携した活動を広げていくことも重要になると思っています。震災後に発足した、国と県と自衛隊とボランティアが参加する4者会議で、私どももボランティア枠ということで参加させていただき、民間と行政が直接コミュニケーションを取る新しい場を得ました。これは私たちが今後支援をしていく上でもとても画期的なことだと思っています。

 「民間からの政策提案」とは昔からある言葉ですが、これから新しい公共支援事業や新しいNPOの組織基盤が整備されていく中で最も力を入れていくべきことだと思います。行政は、被災地の生活支援など、目の前の多大な業務に忙殺されてしまう現状もあります。でも、大変な今だからこそ、私たちNPOや市民活動団体が確固たる信念を持って政策提言を行い、自治体と連携できる部分を積極的に担っていく必要があると思っています。私たちは、その連携を支えていくという部分で今後も役割を担っていきたいと思います。

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