パソナ、東北での企業研修ツーリズム事業を開始 ー 双方向に学びあう、人材育成の新たなモデルを

陸前高田市で行われた牡蠣養殖視察・ブランド化研修(2014年4月)

陸前高田市で行われた牡蠣養殖視察・ブランド化研修(2014年4月)

株式会社パソナグループは、被災地域での「研修ツーリズム」を通して人材開発と事業開発支援を行う新会社『株式会社パソナ東北創生(以下、パソナ東北創生)』を4月1日に岩手県釜石市に設立した。

パソナ東北創生は、パソナグループが東北の復興を実現したい社内外の起業希望者を対象として運営する「東北未来戦略ファンド」の第1号支援案件で、同ファンドからの出資のほか、パソナグループからの人材も取締役として参画する。現地への「研修ツーリズム」に付随する事前・事後研修はグループ会社のキャプラン株式会社と連携して行うなど、グループ全体の強みを生かす体制を構築する。

パソナ東北創生の戸塚絵梨子社長は元パソナ社員で、社内のボランティア休職制度を利用して岩手県釜石市の団体で9ヶ月間、復興支援活動に従事した。東北での経験とネットワークを活かして被災地域の産業復興を目指す。当面は釜石市に置く本社が市役所や現地の団体と連携して研修受け入れ団体の開拓とコンテンツの開発、東京オフィスが研修を希望する企業の開拓を行い、初年度は1,000名の研修受け入れを目指す。新人研修や年次研修などの階層別研修、高齢化や新エネルギーなどに取り組むテーマ別研修など、研修を希望する企業ごとにカスタマイズしたコンテンツを提供する。主に次世代リーダー向けの研修と事業開発担当者への研修の2つを柱に据える予定だ。

戸塚社長は、「パソナ東北創生が目指すのは企業と被災地の人材が共に学びあい刺激しあう関係」と話す。「被災地での企業研修」と言えば、通常は被災地を訪問した企業の社員の学びを指すことが多い。パソナ東北創生はそれに加えて、現地企業・団体側も企業研修の受け入れの機会を使って企画やファシリテーションなどの力を身につけることを目指している。今後、現地の自治体、復興支援団体やNPOとの連携を強化し、研修実施を現地の人材育成の機会にもするべく活動していく考えだ。人材サービス企業大手が現地の人材にどのような学び合いの場をもたらすのか、今後の展開に注目したい。