東の食の実行会議「民間のスピード感で実行」 小泉復興大臣政務官が記者発表

小泉復興大臣政務官の記者発表

小泉復興大臣政務官の記者発表

復興庁「新しい東北」先導モデル事業の1つ、東の食の実行会議が大きく動き出した。7月18日、19日に開催された「東の食の実行会議2014」(レポート12)から約1か月半。東北の食産業の復興に携わる企業、生産者、NPO、行政などのキーパーソン146人が集った会議で出されたアクションプランが、実現に向けて動き出している。
9月1日、自らも実行会議に参加した小泉復興大臣政務官が復興庁で記者発表を行い、進捗状況と今後の予定を明らかにした。

「東の食の実行会議2014」では、議論にとどまらず具体的な行動に移すために11のアクションプランを生み出し、期限を決めてアクションをする。すでに複数のプロジェクトが実行に移されている。
その1つ、「東の食を楽しむ『東の食の食いしん坊倶楽部』立ち上げ」においては、8月1日より、旧軽井沢ビアガーデンにて「東の食の食いしん坊倶楽部 presents 夏の軽井沢高原BBQ」の販売を開始。旅行客にも好評で、9月いっぱいの予定だった販売期間の延長も検討しているという。

「東の食の実行会議2014」での小泉政務官と新浪ローソン社長のパネルディスカッション

「東の食の実行会議2014」での小泉政務官と新浪ローソン社長のパネルディスカッション

小泉政務官は、東の食の実行会議の意義を「自治体・被災事業者・大手企業等の復興のステークホルダーがフラットな立場で議論をし、その場で実行策が決まること。これこそ民間のスピード感であり、それが官の中に入り込んだことに意味がある」という。
「国が予算のバラマキでなく、事業者や自治体の自主的な動きの後押しをすること。地方でどういった人材を生み育て交流していくかということが大切であり、真の地方活性化のヒントは、東北(で現在行われている取組)にある」と、ステークホルダーの連携、市町村単位の地域が主体となった活動が日本各地に波及することに対する期待を見せた。

今後、11月に中間発表、2015年3月に最終報告を予定おり、2015年7月には岩手県にて「東の食の実行会議2015」が開催される。各アクションプランの進捗や課題が発表、共有されるという。
様々な立場のリーダーがフラットに連携しスピード感を持って実行することで生まれる、新たな食の経済に注目したい。

実行会議で出された11のアクションプランと概要

1.品質管理の専門家派遣による食品工場のHACCP、ISOの取得促進
東北の食産業の販路拡大を進める上で、大手量販店の要求する品質管理のレベルに対応できるようにすることが課題。さらに、輸出を視野に入れると、HACCP、ISO22000の取得が必要となる。品質管理の専門家を東北の食品工場に派遣することで、品質権利レベルを向上し、さらにHACCP、ISO22000取得を目指す。石巻市で今年度中にパイロット・プロジェクト実施予定。

2.東北からのルート便物流構築
東北の食産業の首都圏での販路拡大の上で、個別企業で少量を配送していると首都圏への輸送コストが大きなボトルネックとなる。共同の物流により輸送コストを下げるため、付加価値の高い東北産の商品の物流をまとめて、ミルクラン方式のルート便を構築することを目指す。

3.東北の食材を利用した鍋レシピコンテスト実施・販売
各食品小売で東北支援の催事などを積極的に開催しているが、より継続的でインパクトの大きい動きを作る必要がある。
大手小売りが競合を超えて連携して継続的なキャンペーンを生み出すため、共同で投獄の食材を利用した鍋レシピを母数氏、本年11月に開催される「東京ハーヴェスト」にてコンテストを実施。優勝したレシピを商品化し、年内に各参加小売店で同時に販売。

4.東の食を楽しむ「東の食の食いしん坊倶楽部」立上げ
各外食店での東北の食材の利用を促進するために、個別企業を超えた取組を作り、また、東北の食を楽しむ動きを作る必要がある。
さまざまな外食店で「東の食の食いしん坊倶楽部」と称して、東北の食材を使ったメニューを展開していく。第一弾として、本年8月1日より、「旧軽井沢テラス」(株式会社47PLANNNING)にて「東の食の食いしん坊倶楽部 presents 夏の軽井沢高原BBQ」の販売を開始。

5.「輸出促進チーム」を作り、地域間連携輸出のモデルケース作り
東北の食産業が、海外市場へ積極的に輸出を進めていくには、個々の企業が各自で進めるには負担が大きくプラットフォームを構築することが必要。
東北の食の輸出促進チームを作り、複数地域での輸出プラットフォームを構築することを目指す。まずは、モデルケースとなる象徴的な成功事例を年度内に生み出すことを目指す。

6.「ワールド・オイスター・フェスティバル」開催
東北の食のブランディングをポジティブなものとするために、具体的で象徴的な商品を作り出す必要がある。三陸の牡蠣のブランド向上のために、「ワールドオイスターフェスティバル」を開催し、三陸の牡蠣の美味しさを発信する。

7.東の食の担い手を作る学校・学びのコミュニティ構築
東北の一次産業の担い手不足は深刻で、担い手を生み出し、技術を継承し、さらに、ビジネススキルを向上させる仕組みが必要。東北の一次産業の担い手を生み出すための学校や学びのコミュニティを構築することを目指す。

8.人材育成プロジェクトの可視化フェブサイト構築
現在、東北の食産業の担い手を対象とした人材育成プログラムが数多く存在しているが、情報が散在している。情報を一元化し可視化して。対象者が適切な学びの機会を見つけられるよういんするため、現行の人材育成プログラムを集約したポータルサイトを年内に設置する。

9.東の食の事業者に出資する「東の食のファンド」の組成
東北の食産業に資金ニーズはあるが、貸し手側から見た際のリスクもあり、資金のマッチングが十分でない。「復興金融ネットワーク」と連携をしながら、東北の食産業の事業者に出資する「東の食のファンド」を組成し、ビジネスコンテストを実施し、優良な企業・人材に資金を提供することを目指す。

10.自治体が連携して窓口となるビジネスマッチング「東の窓の会」開催
行政によるビジネスマッチングの機会作りが始まっているが、自治体毎の取組となり効果が限定されているため、被災地の自治体が連携して、共同でビジネスマッチングを実施する。
まずは、岩手県釜石市、岩手県大船渡市、宮城県石巻市、宮城県女川町の4市町で年度内の開催に向け準備を開始。単なる商談会ではなく、自治体・事業者・企業等の復興のステークホルダーが地域を越えて連携する場作りを目指す。

11.地域のステークホルダーの場「復興フューチャーセンター」設置
東北の各地域コミュニティの個別の事情やステークホルダーが見えないために、外部からのコミュニティへの参加や支援が難しい場合が多い。
コミュニティへの参加の窓口となり、地域内外の面白い人々が集まり、新しいコウリュから新たな動きを生み出して行くための場「復興フューチャーセンター」を作る。まずは、今年度中に女川町に設置予定。