福島の常識に挑む“スゲェ”エンタメ集団 11月の旗揚げ公演に向け始動

立ち上げメンバーの佐藤健太さん(左)とダンサーのシゲさん。2人は11月公演のキャストも務める。

立ち上げメンバーの佐藤健太さん(左)とダンサーのシゲさん。2人は11月公演のキャストも務める。

ロメオパラディッソ。「100年続くエンターテイメントをふくしまから!」と設立されたこの団体は、今年11月16日の旗揚げ公演に向けて目下準備を進めるエンターテイメント集団だ。福島を盛り上げたいと願う福島市内の事業者たちを中心に、飯館、相馬、南相馬、会津、長野、東京など県内外からメンバーが集った。旗揚げ公演の後は、ソーシャルビジネスの立ち上げ、エンターテイメント学校の運営、震災記念館を併設した常設シアターの創設等、WEBサイトにはエネルギー満載の言葉でビジョンが語られている。

 

「100%無理って、何人に言われたことか」。

設立後彼らは、エンターテイメント業界のいわゆる大物たちに会い、夢を語り、協力を呼びかけた。しかし、現実は厳しいものだったと言う。

話をしてくれたのは、中心メンバーの佐藤健太さん。丹精な顔立ちの彼は飯館村出身。原発事故の直後から外部への情報発信を行い、後に行政を動かすことにもなる村民のための健康手帳を制作、福島の未来創造プロジェクト「ふくしま会議」では理事を務めるなど、福島の若きリーダーの1人だ。

「散々言われて、ヘコんで、それを繰り返したら、吹っ切れた。最初は大物にプロデュースしてもらいたいと思っていたけどやめた。それではその人のものになってしまう。自分たちの足で立って、本当にスゲェものを作る。もう支援されるだけじゃない、違う、新しいフェーズに行きたい」。紆余曲折の上での決意は固い。

新しい文化と地域の誇りへ

福島市内の閑静な住宅街に表れるコンクリート打ちっぱなしのシャレた建物。通称「ロメオ城」。ここが稽古場、兼寮になる。

福島市内の閑静な住宅街に表れるコンクリート打ちっぱなしのシャレた建物。通称「ロメオ城」。ここが稽古場、兼寮になる。

それにしても、何故エンターテイメントなのか。震災以降、日本各地、時には世界各国ヘ福島の現実を発信し続けてきた佐藤さんは、放射能以外の文脈の福島を外に発信したいと言う。

 

「いま表面に出ている部分だけが、福島ではない。放射能とはまったく関係のないストーリーがある。世界や日本中が見たい『ふくしま』を見せるのではなく、内側にあるリアリティをもっと外に出していくべきだ」。

彼らはエンターテイメントという形を通じ、福島の人々にもっと自由にやってよいんだと感じてもらいたいのだ。自分たちが表現する一つひとつが、福島の人々が発するそれぞれが、新しい文化となり地域への誇りを生み出していく。そう信じているのだ。

公演内容について、取材時には「芝居もダンスも映像も音楽も一緒になった総合エンターテイメント」と話してくれた。まだ全容は明らかになっていないが、監督も決まり、キャストも徐々に集まってきている。4ヶ月後の初舞台は歴史の始まりとなるのか。キャストは継続して募集中とのこと。興味のある人はこのプロジェクトに参画してはいかがだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です