編集後記vol.16

兵庫県にある県立舞子高校を訪ねる機会をいただいた。ここは全国で唯一、環境防災科を設置し、通常、高校で履修する単位の3分の1を防災教育に充てている。

カリキュラムが素晴らしい。熱意ある先生に支えられ、多彩な観点から社会の防災力を上げるにはどうすればよいかを学ぶ。地学の教師が、地震や台風のメカニズムを教え、英語教師が海外の防災事情を原文を読み解き、また多くの外部講師が現場で培った知恵を語る。消防署の訓練を体験し、地元の避難訓練でリーダーを務め、お年寄りに消火器の使い方を教えることもある。

驚嘆したのは生徒達の発言だ。自分で考え、発表することを訓練されているので、何を聞いても自分の答えが返ってくる。この学校を志望した理由や将来の夢はもちろん、障害者の防災についてや社会に対する市民の参加意識をどうすれば上げれるかなど、大人が問われても窮するような質問に、我れ先にと手を挙げて答えていく。

この学校で何を学んだか?との問いに、ひとりの女子生徒が「生きていることの、素晴らしさです」と答えた。命は尊い、だから守る。知識や実践だけでなく、ちゃんと生きていく上で大切なことを学んでいる。自らの高校時代を顧み、軽い敗北感すら感じ帰京した。(T)

1件のコメント

  1. たかふじまり 返信

    舞子高校の卒業生がわたしの学科に在席しています。彼女は、災害を通して危機対応実践力を学ぶという本学科の科目を全て受講し、それを持って友人たちと今度は母校へ講義に行きます。
    彼女の目指す職種は、歯科衛生士です。
    舞子高校の先生も、本学科へ講義に来ていただいています。
    東日本でのそれぞれの活動について、授業を通して皆で考えいます。
    決して、教育のための被災地活動ではありません。
    学生のみなさん、立場的に教員であるわたしたちは、同じ仲間として久地支援活動に参加させていただいています。
    それぞれの担うべき役割を考えながら。

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