[南三陸] 「福興市」に見る復興イベントの役割 -地域をつなぐ。未来へつなぐ。-

「福興市」に見る復興イベントの役割今年7月に開催16回目を迎える宮城県南三陸町の「福興市」。昨年4月より毎月開催され、来場者は平均約1万人、多いときで2万1千人にものぼるという。

震災から1カ月半というスピードで開催に至った背景には、「震災前からの『ぼうさい朝市』ネットワークの存在があります」と福興市実行委員会事務局の首藤史明さんは語る。南三陸町志津川地区の「おさかな通り商店街」では、2008年から全国の商店街とともに、内閣府の「地方の元気再生事業」を活用したネットワークを構築していた。これは、平時には各地の特産品販売や災害防災セミナー等を実施し、非常時には互いに支援を行うという取り組み。

震災発生後、ほとんどの店や商品を失った南三陸町に、このネットワークを通じて全国各地の商店街からいち早く物資や商品が届けられた。これが、福興市の早期開催に結びついた。震災直後、買い物の場のなかった町民に、福興市は大変重宝されたという。

現在に至るまで継続されているのは、それが単発の「祭り」ではなく、定期的に開催される「市」であることが大きい。当初から実行委員会では、町民の生活を支える場として福興市を位置付けてきた。開催から1年は、出店者・来場者ともに町民の割合が大半を占めていたことからも、福興市がその機能を果たしてきたことがうかがえる。

福興市は来年3月までの開催が決まっている。首藤さんは「震災前のイベントが従来通り開催されるまでの橋渡し」というが、福興市は、間違いなく南三陸町の日常を取り戻す礎となってきた。非日常から日常へと日々をつなぐこと。そこに復興イベントの一つの役割があるといえるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です