減少するボランティア継続どのように

被災地で学習支援を行うボランティア。その多くが元教員や塾講師経験者

被災地で学習支援を行うボランティア。その多くが元教員や塾講師経験者

全国社会福祉協議会被災地支援・災害ボランティア情報によると、震災後のボランティア数は、去年5月に比べ今年7月には8分の1まで減少している。被災地からボランティアが減少していくなか、継続して支援活動を行う団体にとって、ボランティアの確保が大きな課題となってきている。

生徒とボランティアの 「マッチング」に工夫

東京と被災地で学習支援を行うNPO法人キッズドアは、被災地で学校や教育委員会と連携した学習支援に、今までのべ2000人以上のボランティアを動員してきた。「スキルを持った個人がボランティアとして活躍できる環境を整えることが重要」と、事務局の片貝さんは言う。注力しているのは「コーディネート」。現地の子供の苦手教科や子供の特徴を踏まえ、適切な講師を選択・派遣する。この工夫が、子供たちの学習意欲の向上につながるという。「生徒たちが「授業をしてよ」と言ってきたり、宿題に取り組む習慣がついてくると、自分たちも頑張らなくてはと思います」とボランティアの伊藤さんは話す。生徒たちの意欲や成長が、ボランティアの継続参加意欲を引き出している。

役割をつくることもポイントだ。キッズドアでは、講師としての業務だけでなく、団体の運営も積極的にボランティアに任せている。同団体の学生ボランティアの浅川さんは、事務局と密に連絡を取り合いボランティアリーダーとして学習会の運営そのものに関わる。現場では他のボランティアをまとめる立場だ。活動を通して自身の成長も感じられることと、「現場に求められ、それに応えたい」という想いが、継続的に活動する動機になっているという。

ボランティアの ネットワークづくり

被災地で学習支援を行うボランティア。その多くが元教員や塾講師経験者岩手県の被災地支援ボランティア団体・遠野まごころネットには、現在までにのべ7万人を超えるボランティアが参加。リピーターも多い。同団体でボランティアコーディネートを行う柳澤さんは、ボランティアを通じた「ネットワークづくり」が大切だという。現地での活動で、多くの濃密な思い出を皆と共有し、宿舎には生活を共にしたスタッフがおり、再び参加する時には知っている顔がいる。親しみやすい現場の雰囲気が、継続的参加を促している。

また、活動を通じてできた現地との縁を大切にしている。まごころネットでは、過去に参加したボランティアを、半年以上たった後に現地へ連れて行くことがある。過去に自分が活動した場所の復興していく様子を見せることで、喜びの声が多く聞かれるという。「帰る場所が東北にある」と感じてもらえるようなこうした取り組みも、ボランティア活動継続のために効果的だ。

キッズドアや遠野まごころネットでは、ボランティア活動の体制や対象が大きく異なる。しかし、継続的な支援に焦点を当てると、共通点も見えてきた。被災地復興と共に、ボランティア達も自身の居場所を見つけ、成長・自己研鑽していく。こういった価値を与えられることが、ボランティアを定着させる鍵になっている。

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