ボランティアが事業創造? 観光・学び・ビジネス、現地ツアーのあり方に変化

 「被災地の未来を創る 事業化支援キャンプ」では、チームごとの討論が夜遅くまで続いた

「被災地の未来を創る 事業化支援キャンプ」では、チームごとの討論が夜遅くまで続いた

もはや「東北へ行く」=「ボランティア」=「肉体労働」ではない。県外から被災地へ赴く目的も形も、変化を見せている。

1つは観光。不謹慎かと躊躇する時期は終わり、行くこと・楽しむことが支援になるとの認識が広がった。先月30日に閉幕した岩手デスティネーションキャンペーンは、3ヵ月間でほぼ震災前水準の集客を取り戻し、沿岸部への復興応援バスツアーは目標を大幅に上回るなどの成果をあげた。岩手県に限らず、沿岸部を訪れ、語り部の話を聞き、三陸の幸を堪能するような、観光と学びを織り交ぜた形のスタディツアーも人気だ。

もう1つ見られる流れが、ボランティア・プロボノによる事業支援だ。「今一番必要なことに役立ちたい」「自分の持つスキルを生かしたい」という思いがツアーなどの形になり始めている。

7月7・8日、「被災地の未来を創る 事業化支援キャンプ」が行われた。企画はボランティアのマッチングサービス「skillstock」、協力は仙台のNPO「ボランティアインフォ」。東京から参加した10名は、宮城県石巻市・仙台市で仮設住宅住民が行う手仕事などのプロジェクトに関し、活動支援(人材育成、事業化、販売方法・販路開発)に知恵を絞り、具体的な施策を提案した。関係者は、今後も回を重ね、実質的な効果を上げていきたいとしている。

グロービス経営大学院教員の山中礼二氏が発起人となり、主に同校の受講生・卒業生を対象に行っているのが「南三陸事業創造ブートキャンプ(仮)」。南三陸町の複数地区を視察し、現地に求められる事業創出を模索する。現地の復興に本質的に貢献すると共に、参加者は事業開発スキルを磨くことができる。4月に行われた第1回のキャンプからは、Facebookのファンページを軸に町のファンを増やし、さらに地域の特産品の物販につなげる事業がすでに動き出している。

震災から約1年半。県外からの人の流れは、関わり方の選択肢が増えることで今後さらに加速しそうだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です