スマートシティ実現、進む官民挙げての取り組み 再生可能エネルギーのまちづくりモデルを日本全国、そして世界へ

震災後、政府や自治体の復興ビジョンや復興計画に組み込まれたスマートシティ構想。「震災前より良き未来」の具体策のひとつとして期待は高く、官民により取り組みが推進されている。

3次補正予算に 関連予算1840億円

スマートシティの構成のイメージ(経済産業省資料より作成)
スマートシティの中核をなすのは、太陽光や風力などの自然エネルギーと、蓄電池、省エネ家電等を組み合わせた電力システムをICTで制御し、電力需給の効率化を図るもの。スマートシティは電力網の最適化に限らず地域の生活基盤全体の最適化を目指すまちづくりの手法である。

その概念は以前から存在していたが、米・オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策の影響が日本にも波及してきた2009年頃から実証実験が行われてきた。震災後、被災地で新たなまちづくりが求められる中、政府は3次補正予算において多額の関連予算を計上。「自立・分散型エネルギー供給などに拠るエコタウン化事業」に840億円、スマートコミュニティ導入補助やスマートエネルギーシステム導入を含む「再生可能エネルギーの研究開発及び関連施設の整備」に1000億円などである。

ICT企業による 自治体連携

民間ではICT関連企業が自治体との連携を加速させている。富士通(株)は福島県会津若松市で、エネルギーの効率利用だけでなく、医療や農業、交通インフラ整備などを含め、ICTを活用したまちづくりを目指す。東北電力と連携しバイオマス発電で生じた廃熱を融雪や農業などに活用する案や、高齢者の多い地域特性を踏まえ、在宅介護・医療、電気自動車を用いたバス運行などの実証実験も予定している。この取り組みは経済産業省の「スマートコミュニティ構想普及支援事業」に採択されており、そこで構築する事業モデルをベースに、同県いわき市や他の被災地に広げる考えだ。

宮城県は「仙台東部地域6次化産業研究会」を推進しており、仙台市の沿岸部に大規模太陽光発電所を建設、もみ殼を燃やすボイラーも併設し、そのエネルギーを活かし国内最大級の温室による野菜栽培を始める。各種エネルギーの効率を高める仕組みを提供するのが日本IBM(株)だ。同事業にはカゴメ(株)も参画しており、加工や流通・販売を手がける競争力の高い産業の育成を目指している。

その他の大手ICT各社も専門組織を新設するなど、東北復興におけるスマートシティ事業の体制を強化し、自治体等への提案を進めている。(図参照)

国際社会に貢献する モデルを東北に

東北におけるICT 関連大手のスマートシティ関連事業
全世界の人口増加やエネルギー問題を背景に、各国でエネルギー効率の良い社会に対するニーズが急増している。そうした中、被災地におけるスマートシティの取り組みは、復興における新たなまちづくりや社会インフラの構築として重要であるだけでなく、その先に海外展開の可能性を秘めている。スマートシティ・インフラの海外展開拡充は政府の国家戦略会議「日本再生の基本戦略」でも重点分野として指定されているが、国際競争力のある事例へ成長させるための更なる資源注入も期待される。

もちろん実現には乗り越えるべき壁が多数ある。再生可能エネルギーは現時点で供給量やコストに課題があり技術革新が必要だ。まちづくりの現場でも規制の壁を乗り越え住民と合意をとりつつ10年スパンで取り組んでいく必要がある。東北から次世代のスマートシティモデルが生まれ、日本のみならず、世界の持続可能社会実現に貢献することを目指し、官民挙げた取り組みは今後も続きそうだ。

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