編集後記vol.5

1週間にわたりキューバを取材する機会をいただいた。世界を旅した中でも、最も印象に残った国の一つキューバへの再訪。しかもカストロ前議長に会えるとのことで、4号の仕上げを全て任せ出国した。妻よ皆よ許してくれ。

キューバは実に面白い。ソ連に頼り、砂糖を輸出していればよかった経済は、ソ連崩壊で一変する。石油は以前の3割しか入ってこない、ソ連製の発電機は部品が調達できず壊れたまま。深刻なエネルギー不足に陥ったが、人々は明るく耐えた。クーラーが動かなければ海辺で夕涼みをし、停電になれば歌って過ごした。

無いものは、無い。外国の資源に頼らずに循環型の経済を作り上げた人々は、コミュニティを形成し、教育や医療を充実させた。物質的には貧しくとも、生きることに前向き。生活への不満はあっても、将来への不安は少ない社会だ。困難に立ち向かうスピリットに感銘を受けた。

会議場に姿を現したフィデル・カストロ、御年86歳。ヨボヨボのお爺さんである。しかしその発言は深い知識に基づき、具体的かつ鋭い。いまなお民衆に愛され、ファーストネームで呼ばれる指導者と苦難を乗り越えた国民たちから学んだものを、今後の新聞づくりにも役立てていきたい。(Y)

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