【企業がつなぐチカラ】6月のお披露目に向け、5月には生産開始。岩泉乳業・岩泉産業開発×日本ゼトックの新製品開発が順調

[いわて三陸 復興のかけ橋]

「いわて三陸 復興のかけ橋」プロジェクトのマッチングにより、岩泉町にある岩泉乳業(株)と(株)岩泉産業開発が東京の日本ゼトック(株)と進めている新製品開発プロジェクトが順調である。その水質の良さがつとに知られた岩泉・龍泉洞の湧水を使ったミネラルウォーターなどの商品を製造販売してきた岩泉の2社が現在取り組んでいるのは、龍泉洞の水を使った化粧水。化粧水を取り扱うのは初の試みで、パートナーの日本ゼトックは、化粧品や高機能口腔ケア商品のOEM事業などで品質本位の実績を長く積み重ねてきた。今回の化粧水開発プロジェクトで同社は商品開発にかかる費用についても協力している。

開発チームの仕事風景。女性だけのチームが「自分たちが使うならば」という視点で開発に取り組んだ結果、「自分たちが使いたい化粧水ができた」とのこと

開発チームの仕事風景。女性だけのチームが「自分たちが使うならば」という視点で開発に取り組んだ結果、「自分たちが使いたい化粧水ができた」とのこと

この化粧水開発プロジェクトは昨年9月より進められ、化粧水の処方、ボトルのデザインや仕様に加えて、既に商品名も決定している。商品名は、「ミネラル天然水から生まれた−−−−龍泉洞の化粧水」(価格:1500円、容量:300ml)。5月中には生産が開始され、6月25日の「岩泉ヨーグルト工場まつり」に今年の“目玉”としてお披露目できる目処がついてきた。岩泉乳業(株)および(株)岩泉産業開発の山下欽也代表取締役社長は、「これまでのところ120%の成功。早く売りたい気持ちでいっぱい」と意気込む。

このように開発プロジェクトがスムーズに進んだ理由として、日本ゼトック(株)商品企画開発部の大谷浩淑部長は次の3点を挙げる。1点目は、スケジュールを細かく切っていったこと。プロジェクトの立ち上げに当たっては、ユーザ目線での商品開発をと、互いの女性スタッフだけで構成されたチームが結成された。このとき既に、上述の「工場まつり」での新商品のお披露目というゴールが共有され、処方や香り、容器など一つ一つのステップを細かく切ったスケジュール重視の開発が功を奏したという。2点目は、日本ゼトック、岩泉乳業・岩泉産業開発それぞれにリーダーを設けた点。東京と岩手という遠隔地で進められるプロジェクトだけに、各リーダーからの日本ゼトックの大谷部長、岩泉乳業の山下社長への迅速な情報共有が不可欠だった。そして3点目が、月1回のペースで行われたフェイス・トゥ・フェイスでのミーティングだ。山下社長も「女性スタッフにはものづくりの楽しさを経験させたかったが、日本ゼトックさんのスタッフとの月1回の意見交換をはじめ、とても前向きに取り組んでくれた。プロジェクトでの楽しさは社内全体の雰囲気にも良い影響をもたらし、みんなで売るという意識を共有している」と、共同開発の波及効果にも言及する。

6月25日の「工場まつり」でのお披露目以降は、地元岩泉の道の駅やホテルで販売のほか、ネット販売も予定。さらには、化粧水という異なる領域の商品ながらこれまで培った販路を生かして県内外への進出も視野に入れている。開発後のこうした販路拡大においても、日本ゼトックは岩泉乳業・岩泉産業開発と協力体制を築く。たとえば、岩泉サイドでは従業員全員で通販対応に当たる中、化粧水を初めて取り扱うことから、知識と経験ともに豊富な日本ゼトックの社員が化粧水の基本的な知識や取り扱いの方法などを岩泉側の社員に伝えるなどして、バックアップを図っている。

「今後も、ものづくりだけで終わるのではなく、この商品を地元でどのように育てていくかを一緒に考えていきたい。さらに、当社の東北応援の一環であるこのプロジェクトをもっと岩手県の企業に知っていただき、共同プロジェクトを通じて地域活性化に貢献したい」と日本ゼトックの大谷部長は抱負を語る。一方の山下社長も、次のように日本ゼトックとのさらなる連携にも期待を寄せる。「当社の主力の一つ、ヨーグルトを使った第2、第3の商品開発プロジェクトも既に申し入れている。日本ゼトックさんの石鹸や化粧水などに関する豊富な経験からアドバイスをいただきながらさらにチャレンジしていきたい」。

記事提供:復興支援ポータルサイト「いわて三陸 復興のかけ橋」