東北で1000人規模の”社会実験”を。東北オープンアカデミー始動・今夏には日経新聞とコラボで地方創生人材の育成も

復興から、地域創生へ。2月2日、日経Bizアカデミーはそんなかけ声が聞こえてきそうなイベントを開催した。約500名が参加した「地方創生リーダーシップセミナー」では、宮城県女川町長のほか、東北で活躍する社会起業家4名が登壇。登壇者らは、それぞれが震災を機に開始した事業が日本全国や海外へと広がりを見せている状況を説明した上で、「一番の課題を持った東北こそが、日本の未来をつくる」と決意を語った。

IMG_2085セミナーを共催した「東北オープンアカデミー」もプロジェクトの発表を行った。東北オープンアカデミーは、東北の復興現場に日本全国から1000人規模の人材を集めてフィールドワークを行い、その1000人の参加者が継続的に東北や日本全国の地域でプロジェクトを実施していくメンバーシッププログラム。フィールドワークは今年2月から4月の3ヶ月で実施され、一次産業や地域コミュニティ、医療などの各分野において東北各地で進められている約40の取り組み現場が舞台となる。現地のリーダー達の現場に触れ、議論を深める2泊3日間がプログラムメンバーへの入り口となる。フィールドワーク後、6月に参加者が東京に集結するカンファレンスを行うとともに、起業やプログラム実施を支えるファンドも組成していく。

さらに今年夏には、日経新聞社とともに地方創生の即戦力を育てる新たな人材育成プログラムを開始すると発表した。「都市にも拠点を置きながら地域に関わる事のできる仕組みを育てる」「2020年までに、地域を担う100人の起業家を年輩出する」この2つをミッションと定め、地域創生への注目が集まる中、ビジネスパーソンの地域への関わりを加速していく考えだ。

セミナーの登壇者はいずれも、この3年半都市と東北を往復しながら多くのビジネスパーソンと東北の「交わる場」を提供してきた。石巻市雄勝町で複合体験施設MORIUMIUSを建設している立花氏は、自らの車だけで1300人を超える人を雄勝へ連れて来ており、またロート製薬やベネッセコーポレーションから3名の社員の受け入れている。山元町でイチゴを生産しに本全国やインドで販売をしているGRAの岩佐氏は「地域課題の大きさが今後のビジネスマーケットになると強く信じることが重要」とし、多くのビジネスパーソンこそ東北や日本全国の地域へ目を向けて欲しいと語った。観光や移住するしないの選択だけではない、都市と地方の新たな関係性をつくりだせるかが、今後の東北復興や地域創生の大きな鍵となりそうだ。