社員の熱い思いを活かし、地域に貢献する[日本財団 WORK FOR 東北]

「WORK FOR 東北」は、被災地の自治体等への民間企業による社員派遣、個人による就業を支援し、人材の面から復興を後押しするプロジェクトです。
復興の現場に社員を派遣している企業、および、赴任した方々のインタビューを紹介します。

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リクルートライフスタイル社は、2014年5月より社員1名を岩手県陸前高田市へ、1年間派遣することを決定しました。派遣を決めた責任者である沢登さんと、派遣される桑原さんに話をうかがいました。

派遣を決定したセンター長の沢登次彦さん

Q:人材派遣を決めた一番の決め手はなんですか?
A:当社では、‘変わる’地域の力になる、ということを一番大事にしています。いまもっとも我々を必要としている地域の一つは、被災地です。本人の希望と、そこに求めている地域があるならば、ぜひ協力したいと思いました。

Q:派遣決定まで社内ではどれくらいの時間で決断しましたか?
A:1か月で会社としての方針決定と人選を行いました。かなりスピード感を持って決断しました。地域に入って汗をかきたいという社員の意向を尊重し、応援したいという大きな方針が会社としてありました。外部への出向希望がある社員の中でニーズ、シーズとも現地とマッチする割合はこれまでそれほど多くはありませんでしたが、桑原はぴったりあったと思っています。桑原については仕事の仕方も近くで見ており、謙虚であり出向には適している。傾聴力があり、周りを光らせるタイプと見ていたので、現地で信頼関係を築き、ひとつひとつ仕事ができると考えました。

Q:派遣される桑原さんに一番期待していることは?
A:地域でたくさんの方々を巻き込んで合意形成を行うことは、とても難しいことだと思います。じゃらんリサーチセンターでは、今までにそういった形の合意形成のためのスキルを学んできたので、現地でも皆が納得感を得られる仕組みを作っていくことを期待したい。そこが腕の見せどころであり、出向する意味だと思います。

Q:派遣後は会社としてどのように関与していきますか?
A:桑原が頑張るからあとは宜しく、というつもりはありません。彼はリクルートライフスタイル、じゃらんリサーチセンターの強みを知っています。強い部分で協力できることがあれば支援しながら、弱い部分は地域側から意見を聞いてきてもらいたい。復旧段階では被災地に対しての直接的な支援をできませんでしたが、これからの観光振興という業務では、力を発揮できる可能性があると思います。どういうお役立ちができるか、今回の出向から会社としても学んでいきたいと思います。

派遣されるエリアプロデューサーの桑原祥作さん

Q:派遣に応募した動機を教えてください
A:沢登から派遣制度の話を聞き、それが陸前高田市だと聞いたときに、あ、自分はこれをやるんだと直感しました。陸前高田に直接復興支援の動きで関わったことはありませんが、隣の大船渡市にはボランティアで何度も行ったことがあり、陸前高田を通って一本松も見ていました。ちょうど震災の1年後ぐらいでしたが、最初に陸前高田を通って瓦礫の積まれた町を見た時にあまりの光景に言葉が出ませんでした。頭の中が真っ白になった記憶もあります。今回の話を聞いて、これをやるのは自分だ、陸前高田市に呼ばれた、と勝手に思いました。

Q:迷いはありませんでしたか?
A:妻と話したとき、あれだけの被害を受けた場所なので、次に何かあった時の安全性だけが心配、と言われましたが、それだけでした。妻もボランティア活動をしたいという気持ちがありながら参加できていなかったので、陸前高田市のためにならば行って頑張ってきてほしいとすぐ言われました。

Q:今までの仕事について教えてください

A:入社以来、海外旅行情報誌やインターネットポータルサイト、車販売関係の新規事業、住宅情報誌事業では営業のプレーヤーとして、国内旅行情報系の事業では営業組織のマネジメント業務を担当してきました。今年度からじゃらんリサーチセンターに移り行政と仕事をしており、今は仙台で東北3県を担当しています。県庁、市役所との仕事が多く、被災地にはなかなか行く機会がなかったことは、自分としては悔いが残っていましたので、今回のお話を頂き、ぜひ力を尽くしたいと思っています。

Q:エリアプロデューサーとして忙しい立場で今回立候補したのはなぜですか?
A:東北復興支援のために自分の会社員人生を費やしたいという思いが元々あり、東北担当の希望を出しました。今回の話は地域の復興のために直接働けるチャンスだと思いました。また、将来的に自身で社会事業を起こしたいという希望があります。そのためにも、今陸前高田市での業務に身を投じることは自分が近い将来やりたいことのためにきっと財産になると思いました。

Q:陸前高田で自分の力がどう活かしたい?
A:今検討されているプロジェクトに対し、直接的なノウハウや経験はありません。わかる人の力を貸していただき、教えていただき、協力してくれる方を一人一人見つけていくなどしながら、進んでいくしかないと思っています。これまでの職務の中でもそのような感じで、まわりとつながりながら、力を貸して貰いながら仕事をしてきたので、初めてのところでも多くの方の力を借りることで進めていけたら、と思っています。

Q:陸前高田に行くにあたり、楽しみにしていることは?
A:家族がまだ被災地を訪ねる経験をしていないので、自分が行くことをひとつの機会にして、家族にも被災地を見てほしいし、現地の方たちとの交流を体験してほしいです。自分としては、家族が誇れるような仕事をしたい。それと、私自身は地域の方々とお酒を酌み交わすなどのベタベタの交流がしたいと考えています。これまであまり地域の方と直接の交流が出来ていなかったので、その点もワクワクしています。

(取材日:2014年2月17日)

記事提供:日本財団「WORK FOR 東北」