「試験操業」対象52種 福島水産物の安全性いかにアピール

試験操業対象魚種の推移原発事故の影響で操業の自粛が続く福島県の沿岸漁業。約2万件のモニタリング結果から安全が確認されている魚種において、本格再開へ向けた調査を目的として、小規模操業と試験販売を行う試験操業が続けられている。

福島県いわき市は9月26日、県の漁業関係者とともに東京・築地市場を訪問。昨年10月に始まった試験漁業の現状を流通関係者に報告するとともに、放射性物質に関するモニタリング検査の最新結果も発表して安全性をアピールした。

福島県の試験操業は順調に規模を拡大し、10月からは対象となる魚介類が51種にまで広がっている(36種が未だに出荷制限状態)。また同8月末には沿岸部を中心とする底びき網漁業の対象領域が水深135mから120m以深へと拡大。船びき網漁業でも震災後初めてシラス漁が再開されるなど、福島第一原発事故による大きな被害から一歩ずつ再生へ向かう動きが目立っている。

築地場内で行われた説明会では、福島県漁連や水産試験場、いわき市見せる課などから説明された。

築地場内で行われた説明会では、福島県漁連や水産試験場、いわき市見せる課などから説明された。

今後の1番の課題は、消費者とのコミュニケーションだ。いわき市では、2012年10月に役所内に「見せる課」を開設し、メディア向けの現地視察ツアーや都内各地のPRイベントなどのほか、Webサイトなどを通じ徹底した情報公開を進めてきた。一方、この日は業界でも影響力の大きな築地地の流通関係者50名程が参加したが、「消費者の目が最大の不安で、安心・安全性をいかに説明できるかが問題だ」と厳しい声が飛んだ。

今後「見せる課」では11月2日に築地市場で行われるイベント「鍋グランプリ」に出展するほか、今年2月に続くTVCMの第2弾やPRイベント、視察ツアーなどを実施する計画だという。失った信頼を取り戻すには時間がかかる。県漁業組合連合会の野崎会長は「1つでも船を動かして魚をとり続けることが重要だ」と話したが、コミュニケーションにおいても地道な継続が今後も必要となりそうだ。