[福島県 双葉郡]中高一貫校「ふたば未来学園」来春いよいよスタートへ

学校名の候補は公募により314案も集まった。子供たちも加わって選定し、「ふたば未来学園」に決定した。

学校名の候補は公募により314案も集まった。子供たちも加わって選定し、「ふたば未来学園」に決定した。

福島県沿岸の双葉町・浪江町・大熊町などを含む双葉郡8町村の小中学校では、原発事故の影響で現在も避難が続いている。休校中が6校、他施設へ移動または仮設校舎で授業を行っている学校が45校あり、高等学校についてはサテライト校として県内各地8校に分散している。

双葉郡8町村では、困難な状況を乗り越え復興を実現する鍵は人材育成にあるとの考えのもと、「双葉郡教育復興ビジョン」を2013年7月に取りまとめた。そしてビジョンの柱の一つである中高一貫教育について、まず先行して高校が、2015年4月に郡内の広野町に誕生する。現在、その第一期生の募集が始まっている。

地域から世界へ、未来を牽引できる人材育成を

学校の特徴としては、現在サテライト校となっている双葉郡の高校それぞれの特色を引き継ぎながら、震災・原発事故からの学びと地域の復興に向けた「ふるさと創造学」や、大学や専門機関と連携した「環境教育」「防災教育」「国際教育」等、先進的な教育内容を実践する。留学や、在学中の資格取得にも力を入れる。

とくに画期的なのは、国内でも先進の「課題解決型」学習(アクティブ・ラーニング)。生徒たちが自発的に課題を見つけ、考え、様々な人と協力しながら解決に向けて行動する学習だ。受け身の授業では伸ばしにくい、個々の主体性・人間力・思考力などを引き出し「地域から世界へ、そして未来へと、広く社会に貢献する人材の育成」を目指す。

各界の有識者により「ふたばの教育復興応援団」が設立

中高一貫校には、実習室や運動場などの学習施設だけでなく、寄宿舎・食堂も完備。遠方からの進学も可能だ。

中高一貫校には、実習室や運動場などの学習施設だけでなく、寄宿舎・食堂も完備。遠方からの進学も可能だ。

2014年7月、各界の第一線で活躍する有志メンバーが、新設する中高一貫校での教育をはじめ双葉郡の教育復興に向けた様々な取り組みを応援する「ふたばの教育復興応援団」を設立。今後、中高一貫校の校歌や制服作成など立ち上げへの協力や、中高一貫校と双葉郡の小中高校での授業や部活動へのサポート等を予定している。

「ふたばの教育復興応援団」の顔ぶれは実に多彩。復興大臣政務官の小泉進次郎氏をはじめ、教育分野からは東京都教育委員の乙武洋匡氏や東京藝術大学特任教授の平田オリザ氏、スポーツ界からは潮田玲子氏や為末大氏、また俳優の西田敏行氏や宇宙飛行士の山崎直子氏、作詞家の秋元康氏やクリエイティブディレクターの箭内道彦氏など、総勢17名だ。

結成にあたり応援団メンバーからは、「“前例なき環境には前例なき教育を”の想いで、双葉郡の教育復興にライフワークで取り組みたい」、「地元の皆さんと手を携えて、自分が今15歳なら通いたいと思える学校にしたい」、「新しい中高一貫校に、我こそはと挑戦してくれる皆を待っています」などの力強いコメントが寄せられた。