気仙沼に初のシェアアフィスがオープン 人が繋がり、新たな仕事が生まれる場に

木とコンクリートの質感を生かした内装。

木とコンクリートの質感を生かした内装。

杉浦さん(右)と、自転車日本一周の旅の途中で工事を手伝った伊藤誠さん。改装工事中の建物の前で。

杉浦さん(右)と、自転車日本一周の旅の途中で工事を手伝った伊藤誠さん。改装工事中の建物の前で。

8月1日、気仙沼市南町にシェアオフィス「co-ba KESENNUMA」がオープンした。
オーナーの杉浦恵一さんは愛知県出身。ヒッチハイクで日本一周中に震災が発生し、ボランティアとして気仙沼へ。のちに移住し、女性の雇用を生み出すためにキャンドル作りの工房を立ち上げるなど、地元の活力を創出する活動を続けてきた。

そうした中で、「高校を卒業した若者が、気仙沼には仕事がないからと地元を出ていってしまう。シェアオフィスを作ることで、まずはデザイナーなどスキルを持った若者のUターン、Iターンが増えれば」と考え、設立準備を進めてきた。
学生や旅行者などボランティアによる手作りの工事で、津波の被害を受けた元飲食店の建物をモダンなオフィスに改装。設計も、バイクでの日本横断中に偶然立ち寄った一級建築士によるものだ。手作りにこだわり多くの人の力を借りたのは、コストを抑えることに加えて「手伝いに来てくれた人は、自分が作ったものの形が残ればきっとまた来ようと思ってくれるから」だという。

オフィスの利用料は1日1,000円から。東京都内などで展開されている「co-ba」ブランドのシェアオフィスの1つであるため、全国の「co-ba」が使える定額プランもあり、出張の多い復興関係者にも便利だ。また、キッチンスペースもあり、イベントを開催することも可能となっている。

杉浦さんは今後、この場所でパソコン教室などを開きたいという。「小さな子どものいる女性でも、パソコンが上達すればデータ入力業務を受注することができる。月2~3万円の収入が得られ、このあたりでは割のいい仕事になる。東京水準の価格の仕事を気仙沼でできるようにしたい」。
多くの人の力が集まり出来上がった、気仙沼初のシェアオフィス。新しい産業が生まれ、地域に活力をもたらす拠点となることを期待したい。

文/畔柳理恵