蛤浜プロジェクトがキャンプ場を開設、子どもの自然・防災教育の拠点に

宮城県石巻市の牡鹿半島にある蛤(はまぐり)浜で地域再生に取り組む蛤浜プロジェクト(代表:亀山貴一)が17日、子どもの自然体験や防災教育の拠点となるキャンプ場の開所式を行った。建設や整備に携わった企業や団体、ボランティア、近隣住民など約30人が参加。浜の活性化に向け、新たな一歩を踏み出した。

手製〝マイク〟を手にキャンプ場開所を報告する亀山さん

手製〝マイク〟を手にキャンプ場開所を報告する亀山さん

蛤浜プロジェクトは、震災を機に人口が数世帯にまで減少した浜辺を再生するため、浜の出身者で震災直前まで暮らしていた亀山さんが立ち上げた団体だ。約1年前にオープンしたカフェ「はまぐり堂」には年間1万人ほどが訪れ、県内外から注目されるスポットになっている。

今回開所したキャンプ場は、浜全体を蘇らせるプロジェクトの新たな拠点だ。スギ林などが生い茂っていた場所を約1年半かけて整備し、約300坪と広大な敷地を有効活用する。設営資金や重機、人員派遣の面では、バンクオブアメリカ・メリルリンチや日本財団、絆ジャパン、共生地域創造財団から支援を受けた。

開所式で亀山さんは、「子どもたちに向けた自然学校や防災教育の学びの場としたい」とその目的を力強く語った。
具体的には、火の起こし方や動植物・昆虫の観察、カヤックやシュノーケリングなどのマリンスポーツ体験などを想定しているほか、魚の捌き方など地域の伝統料理を学ぶ講座も開く予定。また防災・減災面では、震災体験者との交流などを通じ、自然の恩恵や脅威とどう共存していくかを学んでいくとしている。企業研修のほか、各種団体のワークショップやイベントなども誘致し、キャンプ場の充実化とともに新たな可能性も探っていく計画だ。

5月末にはバンクオブアメリカ・メリルリンチの社員15人ほどをボランティアとして受け入れる。また、6月末には地元の高校・大学生を対象にキャンプリーダーの育成プログラムを計3回に渡って実施。8月にも小・中学生を招待し、浜の自然を体験してもらうプログラムを計画している。

関係者30人ほどが集まり、開所を祝った

関係者30人ほどが集まり、開所を祝った

亀山さんは「今日がスタート、第一歩だ」とし、今後も企業・団体やボランティアを積極的に受け入れながら「一緒に新しいものを生み出し続けていきたい」と、幅広い〝連携〟を訴えかける。

現在、ゲストハウス「漁家民宿」(7月開業予定)やツリーハウスの建設も並行して進めている。一度は衰退しかけた小さな浜に様々な交流が生まれ、少しずつではあるが一歩一歩、活気を取り戻している。「新たな観光資源として多くの人を呼び込み、牡鹿半島全体を活性化させたい」という亀山さんの言葉に、浜の希望を感じずにはいられない。