民間企業だからできること 復興牡蠣ファンドの挑戦

事業とマーケットの改革で未来へ

「日本一の牡蠣好き」を自負する齋藤さん。

津波で壊滅的な被害を受けた三陸海岸の牡蠣生産者を支援しようと、復興後の牡蠣を事前購入する形で資金を募る牡蠣復興支援プロジェクト「SAVE SANRIKU OYSTERS」。1口1万円の小口オーナーを募り、資金を養殖いかだなどの資材や種牡蠣購入に充て牡蠣業者を支援、出荷が再開され次第1口あたり殻つき生牡蠣約20個がオーナーに届く仕組みだ。運営するのは元々全国の牡蠣をネット販売していた㈱アイリンク(仙台市)。社長の齋藤浩昭さんは震災後3月26日にプロジェクトを発足した。その早さは、夏までに養殖できない分は来年になってしまうという危機感から。現地はまだ「復興」という言葉を口にできないような状況の中毎日被災地の牡蠣業者を回り、漁師のニーズを拾い、入手困難になっていたロープなどの資材購入のために全国を駆け回った。

成育に2年~3年かかる牡蠣。出荷の時期は約束できないとしているにも関わらず申し込み者からは「いつまでも待ちます」など熱い応援メッセージが絶えない。1月15日現在、オーナー数約2万人、申し込み口数約2万7千口。支援した生産者人数は岩手・宮城の計13エリアで277名、支援金額は1億800万円あまりになる。支援に使用した購入品、支援先、金額等をホームページ上で随時報告。この透明性も信頼を得ている。また、資金の30%は送料、通信費、取材費などの自社経費としている点も明確にする。齋藤さんは企業を経営する立場として事業の継続性を重要視した。2万人を超えるオーナーへのリアルタイムの情報発信に現地への細かな支援。「無償だったら1ヶ月ともたなかったかもしれない」と振り返る。

齋藤社長には、復旧に留まらない将来への夢がある。「三陸牡蠣の養殖業を震災前よりはるかにいい状態にしたい」。そのためにむき身中心から、殻つき中心にした養殖とマーケットづくりに挑戦したいと言う。現在の日本の市場では、むき身牡蠣は手間をかけているにも関わらず殻つきよりも単価が低い。殻つき牡蠣を生産し流通がうまくいけば漁業者の収入が上がり、若手が増える。オイスターバーだけでなく普通のスーパーで売られ普通に買われる文化を作りたい、『殻ガキ革命』を起こしたいと意欲を燃やす。

またその目は世界を向いている。殻つき牡蠣が主流であるフランスの養殖方式に着目。昨年夏、帆立貝ではなく特製のディスクへの種付けに挑戦した。10月には三陸の漁業者を連れフランスを視察、複数の浜の若手漁業者と新方式での殻つき牡蠣づくりに取り組み始め、最近は新会社も立ち上げた。将来は良質な日本の牡蠣を価値あるブランド品として輸出できれば漁業者を取り巻く環境は大きく変わる、と齋藤さんの夢は尽きない。

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