[巻頭言] 体験学習を通じて子供たちの自ら考え、行動する力を育む

南相馬ソーラー・アグリパークは、2013年3月11日、津波被災地2.4haに500kWの太陽光発電所と2棟の植物工場を完成させました。地域産業の復興モデルとなるとともに、自然エネルギーをテーマとした体験学習によって子供たちの「考える力」と「行動する力」を育み、復興を担う地元人材の育成を目指しています。

半日をかける体験学習プログラムは学校の総合学習の一環として、すでに27回、700名の小中学生を受け入れました。子供たちは太陽光発電所の中で巡視点検をしたり、パネルの方角や角度を自由に変えて発電量の違いを研究する体験などを通じて楽しくエネルギーについて学んでいます。電気自動車に充電したり、そのバッテリーから電気を取り出して家電製品を動かす体験もできます。

体験学習による子供たちの成長支援

多くの子供たちが、未曽有の被災経験を通して、「全国からの支援への感謝」と「自分も人のために役立つ大人になりたい」という気持ちを身に付けました。子供たちが力強く成長していくためには、この気持ちを「自ら考えて行動する力」へと発展させていく具体的で継続的な成長支援の仕組みが必要です。

南相馬ソーラー・アグリパークの体験学習は、あらかじめ与えられた答えに従うのではなく、子供たちが自ら試行して見つけ出す要素を数多く含んでいます。このような体験を通して、子供たちは、「自ら考えて行動する力」を育んでいくのです。

成長支援のプロセスを進化させる

子供たちに接するうちに、「発表」や「行動」に躊躇する子がいる一方で、発表することに躊躇のない子供たちは考えることにも行動することにも積極的だということを実感しま した。そこで、体験や学びに一層の意欲を持っている子供たちの成長支援を継続フォローしていく必要性を強く認識するようになりました。

そのため、2014年4月から、より意欲のある子供たちの成長を継続的に支援するために、新たに週末スクールを大学や企業と連携して立上げます。「自ら発表する力」を養うため、子供たちに「発表する場」を定期的に提供します。高校生や大学生がこれらの事業運営に参画し経験を積むことによって、復興を担い得る人材として成長するように支援していきます。

そして、成長した若い人材とともに福島の復興を支える新しい事業を起こしていきたいと考えています。

【プロフィール】半谷栄寿
一般社団法人 福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 代表理事
1953年南相馬市小高区出身。東京電力株式会社執行役員(新規事業担当)を経て2010年に退職。2012年4月に「福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会」を立ち上げ、現職。森林の健全化に取り組む環境NPO「オフィス町内会」の代表も務める。

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