はばたく!高校生「なにかしたい」はいかにして「行動」へ変わったのか【後編】

映像を通じて東北の元気を日本へ、世界へ!

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行動を起こしたきっかけ:「任せたい映像がある」の一言

 TOMODACHIのプログラムで、去年と今年と2回アメリカに行かせてもらいました。去年は凄く刺激をもらって、こてんぱんにされたけど、それを跳ね返すところまではできなかった。今年2回目で、とにかく積極的に声をかけてみんなの想いを聞いて、自分の夢を語って。そしたらやっとやりたいことが見えてきて、そんな時に、TOMODACHIの映像を作っていた前田屋の前田さんから「任せたい映像がある」って声をかけてもらったんです。

エネルギーの源:夢があるから前に進める

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 私の夢は、映像や映画の制作に携わって、東北をそうした発信地にすることなんです。実は昔、転校などにより不幸な毎日が続いている時がありました。その時、映画に出会ってとっても救われたんです。メイキングを見たんですけど、たった2時間のために、こんなにも多くの人が携わっているのかと驚いて、その姿がキラキラしてて。私は生きる力を映画からもらいました。だから、映像を通じて誰かの幸せにつながるきっかけをつくりたいんです。

行動してみて:こういう人になりたい、を見つけました

 きっかけをくれた人であり、制作の師匠でもある前田さんに出会った事が本当に大きいです。制作を学ばせてもらってるだけじゃないんです。電話1本で必要なメンバーを集めて、凄い映像をつくってしまうところ。石巻で映像制作会社つくろうとか、東北で映画祭やろうとか、私がやりたい!って思う事をさらっと言ったりするところ。こういう人になりたい、って人に、初めて会えました。だから後は前に進むだけです。1つ大きな作品を終えましたが、目指している所はもっと先。これからもどんどん作品を作り続けたいです。

【活動情報】ラブ♡セン PRムービーで東北の高校生を紹介

 万麻紗さんが制作したのは、11月に開催された「ツール・ド・東北」のPRビデオ。東北で活躍する高校生たちが地元愛を叫ぶものでタイトルは「ラブ♡セン ~ツール・ド・東北 高校生ver.~」。福島・宮城・岩手を自転車で旅するような形で、各地の高校生10組を紹介。「東北の一番の魅力は高校生。何度も会いにきて欲しい」と自身が話すラストは感動的。

まだまだある! 注目の高校生プロジェクト

ISHIMO 岩手県盛岡市

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 岩手県の内陸および沿岸部出身の高校生5人で結成したグループ。「復興への意識について沿岸部と内陸部の差がある」という課題意識のもと活動を開始。11月に盛岡市で県内の高校生らを招いての第1回岩手県高校生交流会を実施。冬休みに行う沿岸部ツアーを企画し、来年はその結果を元に岩手内外に情報発信プロジェクトを予定。
 今後も、内陸と沿岸の架け橋となってイベントや交流会を企画していく。
https://www.facebook.com/pages/Ishimo/1378828222339678

カタリバMy Project  岩手県大槌町

カタリバ

 NPO法人カタリバが展開する学習支援事業、放課後学校・コラボスクール「大槌臨学舎」の生徒たちが、「支援される側を卒業して、大槌をつくる人になりたい」と12年秋から開始したプロジェクト。100人の町民を撮影してフォトブックを作ったり、震災の記憶を風化させないために4年ごとに立て替えが必要な木碑を作成したり。主体的に企画・資金調達・実行することを通じて、「前へ踏み出す力」「考え抜く力」「チームワーク力」を育んでいる。
http://www.collabo-school.net/myproject-about/

底上げYouth 宮城県気仙沼市

底上げユース

 高校生の視点を活かし、観光でを町を盛り上げる有志団体。学習支援などを行うNPO法人「底上げ」のサポートのもと、12年9月に結成された。現在、学校や学年を超えた20名あまりのメンバーが、気仙沼の魅力を学びながら発信している。今年の夏には気仙沼市の観光リーフレットvol.1を制作。地域の観光スポットを「恋」をテーマに、大学生が主人公のラブストーリーを交えながら紹介する。現在vol.2の制作に取り組んでいる。
https://www.facebook.com/sokoageyouth

学生団体「まずもって」 宮城県南三陸町

まずもって

 南三陸町を訪れた人に震災の体験と想いを語る、高校生の語り部グループ。正式名称は「まずもって、かだっからきいてけさいん」で、これは方言で「ひとまず、お話をするので聞いてください」という意味だ。13年3月に志津川高校の田畑さんを中心に結成され、メンバーは同校の生徒を中心に10名強。外国からのゲストには英語を使って語る。活動は語り部の他にも、町のボランティアに参加したり、イベントの手伝いをしたり、志津川の名物だったトコヤッサイコンテスト(南三陸版のソーラン節)の復活も目指している。
http://mazumotte.hatenablog.com/

カフェ「  」(かぎかっこ) 宮城県石巻市

カフェ「」

 地元の高校生約30名が休日限定で運営するカフェ。12年6月から準備を始め、11月に石巻市役所1階でオープンした。コンセプト、メニュー、空間デザイン、宣伝など、すべてをゼロから高校生主体で創り上げた。情報発信、マネージメントなどのチームに分かれ各プロジェクトを進めると共に、カフェでの接客・調理も行っている。メニューは農家や漁業者、加工会社から地域の産業を学びながら作る。大手食品メーカーと組み、ムール貝入りのレトルトカレーの開発も。
http://doorwaytosmiles.jp/

TOMOTORA 福島県いわき市

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 高校生が地域を案内する旅行ガイド集団。Tomodachi Travel agencyの略でトモトラ。震災により観光客が減ってしまったという地元の課題を自分たちで解決すべく発足し、旅行会社H.I.S.にプレゼンをしてコラボ企画が実現した。ツアーは東京発の1泊2日で、伝統の和紙作りやかまぼこ工房体験、フラダンスレッスンなどを通じた地元の人との交流や、同行する高校生の語る震災とその後の話から「未来に向かういわき市」を体感してもらう。10月から4回開催、参加者からは感動の声が寄せられている。
https://www.facebook.com/tomotravel

おまんじゅう作り 福島県新地町

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 新地町高等学校の川村花菜恵さんが企画した、地元特産の食材を利用し、住民がつくるおまんじゅうを地域の新しい特産品として全国に広めるプロジェクト。相馬市から避難してきた人々が加わりコミュニティが大きくなっている新地町で、おまんじゅう作りを通じて人と人の繋がりを深めたいという想いから始まった。高校生が中心となって仮設住宅の住民と共におまんじゅうを作り、老人ホームや保育所で配布し、地域への愛着を感じてもらうことを目指している。ゴミ拾いなど地域の活動も積極的に盛り上げる。

TOHOKU YYプロジェクト 宮城県仙台市

YY

 進路を何となく決めてしまったり、自分のしたいことが見えなかったりという、多くの高校生の悩みに向き合いたいと発足。自分の夢や本気で夢中になれるものを、人との出会いや社会的な体験を通して考え、話し合い、一緒に見つけるための団体。
 テーマを持ったディスカッションや、大学生らから話を聞く会、さまざまな高校の生徒同士で交流を深めるスポーツ大会、将来への夢や志を発表するプレゼン大会などを企画、実施している。

trees 福島県南相馬市

trees

 「原発事故で大きな被害を受けている福島県相馬市および南相馬市で、風評被害と戦う一次生産者を支援するための団体。地域の農家や道の駅、商店などにヒヤリングし、地域産品の厳しい販売状況を課題と設定。自ら取材をして、生産者のストーリーとともインターネットを通じて相馬・南相馬の産品を販売する「うまうまレストラン定期便」プロジェクトを企画。2014年4月~の販売開始へ向けて、地域のNPOや生産者、販売店等とともに準備を進めている。

取材を終えて

 今回の取材を通じて、機をつかみ行動を起こす多くの高校生達に出会った。仲間同士で励まし合い刺激を与え合い、切磋琢磨する姿。夢の実現のために悩みながらも成長し、前に進む姿。ある生徒は「若者を見ればその地域の未来が分かる」とスライドで発表していたが、まさに彼らは東北の希望そのものであった。
 同時に光って見えたのは、彼ら高校生を支える大人の存在だ。今回登場した高校生の多くは米大使館の進めてきたTOMODACHIプログラムの卒業生だが、それに限らず、出会いの場や行動のきっかけを与え、時にはメンター、ロールモデルとなり内に秘めた力を引き出す大人がいる。未来をつくる若き力を花咲かせるは我々なのだと、1人の大人として思った。

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