他地域に学ぶvol.9 神奈川県 藤野【後編】

住民の「これやりたい!」から生まれ続けるワーキンググループ

最初にお邪魔したのは平日夜。「仕事帰りのお父さん」であるTT藤野のコアメンバーが集合したのは居酒屋ではなく公民館。「部活のようで楽しい!」と話す皆さん、この「楽しさ」が継続の一番の秘訣のようだ。

最初にお邪魔したのは平日夜。「仕事帰りのお父さん」であるTT藤野のコアメンバーが集合したのは居酒屋ではなく公民館。「部活のようで楽しい!」と話す皆さん、この「楽しさ」が継続の一番の秘訣のようだ。

TT藤野では、細かな規則や努力目標を設定するのではなく、「やりたい人が、やりたい時に、やりたいことを、やりたいだけやる」というコンセプトを大事にしている。そのためか、メンバーの中からは自然発生的にさまざまなテーマのワーキンググループが生まれている。食と農業がテーマの「お百姓クラブ」、森の整備と皮むき間伐を行う「森部」、「健康と医療」など、各グループが主体的に活動する。自分の関心のあることだからか、どの活動もとても楽しそうだ。

藤野電力が変えてゆくエネルギー依存の意識

エネルギーを自分たちでつくる活動をする「藤野電力」。全国各地に招かれ開催している太陽光パネルの組立ワークショップは110回を越えた。

エネルギーを自分たちでつくる活動をする「藤野電力」。全国各地に招かれ開催している太陽光パネルの組立ワークショップは110回を越えた。

ワーキンググループの中でも特に話題になっているのが「藤野電力」だ。福島の原発事故を機に「自分たちにできることはないか」と地域で話し合い、太陽光パネルによる発電で、100%自家発電の芸術祭「ひかり祭り」に一部の電力供給をしたことが活動の始まりだった。その後もイベントでの電力サポートをする他、実用的なミニ太陽光発電キットの組み立てワークショップを開催し、その数は全国で110回を越えた。電力を自分でつくると、人は大切に使うようになるという。藤野電力の活動は、各地でエネルギーや生活の仕方に対する意識を少しずつ変換していると言えるだろう。

毎年藤野で開催され、昨年は3日間で8000人を動員した音楽とアートのイベント「ひかり祭り」。照明・音響など電力は100%自家発電でまかなう。

毎年藤野で開催され、昨年は3日間で8000人を動員した音楽とアートのイベント「ひかり祭り」。照明・音響など電力は100%自家発電でまかなう。

TT藤野のコアメンバーの40代男性はこう語ってくれた。「ここに来る前は仕事が一番で地域活動なんて発想すらなかったけど、これが面白くてね。仕事以外に好きなことをしたり家族と過ごしたりというもう1つの生き方があると、最期ではなく今気付けて本当に良かった」。

これからも、多くの人を「楽しく」巻き込みながらゆるやかにトランジションしていく藤野。天然温泉や地元の素材を使った人気の食堂もある。ぜひ地域通貨の視察を兼ね、訪れてみてはいかがだろうか。

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