[宮城県女川町]統一ブランドで水産業を発信

「あがいん女川」加工品と体験プログラム

[宮城県女川町]統一ブランドで水産業を発信宮城県女川町で、水産業の再生と町の復興を目指すブランディングプロジェクトが始まった。キリングループと日本財団の支援を受け、町をあげてオリジナルブランドの商品開発・販路の開拓を進めるとともに、水産体験プログラムによる観光客誘致を目指す。

女川弁で海の幸をアピール

宮城県女川町で10月10日、復興応援キリン絆プロジェクト水産業支援「女川ブランディングプロジェクト」の調印式が開かれた。女川町からの申請を受け、町の水産業に対する支援として、日本財団を通して5000万円の交付を決めた。

女川町は、銀鮭や牡蠣、ホタテなどの養殖が盛んなほか、秋の味覚である秋刀魚は全国でもトップクラスの水揚げ量を誇っていた。震災を経て現在の水産業は、仮設工場などで一部営業を再開しているとはいえ、風評被害もあり販売量は減少。高齢化が進み、今後の水産業の担い手が育たないという課題もあった。

そこで、女川町の水産業の復活を目指し、女川で水揚げされる魚介類と水産業の魅力を高めるために統一ブランドを構築するプロジェクトが発足した。新たに生まれたブランド名は「AGAIN女川(あがいんおながわ)」。英語の「AGAIN(再び)」と女川弁の「あがいん(食べてください)」を掛け合わせ、自慢の海の幸をアピールしていく。

若手経営者たちの固い結束

第一弾として発表された商品には、おかせい、マルキチ阿部商店、高政など地元の有名企業のものが並んだ

第一弾として発表された商品には、おかせい、マルキチ阿部商店、高政など地元の有名企業のものが並んだ

プロジェクトの具体的な取り組みは主に2つある。1つは、女川ブランド認定商品の開発・販売だ。町内外の有識者によるブランド審査委員会を立ち上げ、選ばれた商品を「認定商品」として販売する。初年度は10商品の開発を目指す。もう1つは水産業体験プログラム。ホタテの水揚げなど子供も楽しめるような水産業体験メニューを開発し、国内外から年間1万人の観光客を集めたいと目論む。

こうしたプロジェクトの推進役を担っているのが、復幸まちづくり女川合同会社のメンバーだ。同社は、町内の事業者による「女川町復興連絡協議会」内の一部会として活動していた「まちづくり創造委員会」が発展して生まれた組織で、水産加工業、飲食業、観光業などに携わる若手経営者8名が運営を行う。

同社代表の阿部喜英さんは、震災を機に町内の業種を越えた結束が強まったと話す。特に2012年3月に開催した「女川町商店街復幸祭」が大きな契機となった。その後同年9月に合同会社の設立を経て、各事業者単独ではなく町をあげてブランドをつくる動きにつながっていった。

事業期間は13~14年度の2年間。実質、向こう1年強で、商品開発・販路の拡大、水産体験事業を軌道に乗せなくてはならない。女川町では現在、ブランド商標登録の準備や、新商品開発に向けた燻製機などの設置準備、さらに水産体験のモニター事業の開催など、ブランド構築に向けた動きを加速させている。近く専用のウェブサイトも開設し、全国に向けたアピールも開始する。

文/小島和子

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