[寄稿]寄りあいNIPPON開催報告 目的は連携ではなく、アクションを生み出すこと

復興庁の岡本統括官による基調講演では、NPOなど行政以外のセクターが、それぞれの得意分野で連携しながら役割を全うすることへの期待が述べられた。

復興庁の岡本統括官による基調講演では、NPOなど行政以外のセクターが、それぞれの得意分野で連携しながら役割を全うすることへの期待が述べられた。

 9月11日、「寄りあいNIPPON–東北から日本の未来を創造する円卓会議–」の第1回が仙台で開催された。

 「誰かを批判するだけでは復興は進まない。セクターを超え、これからの復興の在り方について話し合いたい」。行政やNPO、株式会社などさまざまな立場からこれまで復興に取り組んできた、筆者を含む18名のメンバーが実行委員となって実施したものだ。

 プログラムは、復興庁の岡本全勝統括官による基調講演に始まり、続いて「自立とコミュニティーづくり」「観光と人材交流の持続性」「子どもの遊びと学び」3つのテーマに分かれての分科会が行われた。それぞれ40〜60名が参加し、実践者からの課題提起を踏まえた意見交換が行われた。

 各テーマさまざまな論点があった中、いずれの場においても「コーディネーター」「連携のための場づくり」の必要性が議論の中心となり、NPOだけでなく、企業の視点での支援のあり方などについて、より一層の議論の深化が重要であるという結論に至った。最後は各分科会で行われた議論の共有を経て、全体で更なる議論を行った。

次のステップは現場課題の解決プロセスの実践

対話を実践に繋げようという意識も高く、白熱した熟議の場となった分科会。

対話を実践に繋げようという意識も高く、白熱した熟議の場となった分科会。

 連携や協働の大切さは、今まであらゆる場で耳にしてきたことだが、アクションに繋がった事例はそう多くはなかったように思う。連携自体が目的化されていたり、多様なステークホルダーが対等に話す場になっていなかったり、といったところにその原因がある気がしている。

 そうした中で今回、たとえば観光の分科会において新しく東北の観光づくりを考える研究会が発足する動きにつながったことには、今後の可能性の広がりを感じている。また今回、実行委員が中心となり参加者を募った。東北3県に関わる多様な復興現場で、2年半かけて構築されたネットワークが一堂に会したことで、更に新しいシナジーが生まれたように思う。

 会議室での議論の次のステップとしては、参加者が実際に現場の課題と向きあい、解決のプロセスを実践するというところだろう。寄りあいNIPPONは計3回構成での実施を予定している。ただの議論で終わらせず、具体的なアクションに繋がる場づくりと取り組みを通じ、今回「寄りあった」方々とともに、東北から日本の未来を創造していく。

〔文/寄りあいNIPPON実行委員 臂(ひじ)徹〕

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