東北におけるインターネットマッチングの潮流 「1対多」から「1対1」へ

 震災後、被災地に多くの支援をもたらしたインターネットによるマッチング。本稿では、「次なる潮流」とその背景を紹介する。

 従来のマッチングの強みは「1対多」にあった。代表格といえるのが、被災事業の再建に1口1万円から出資できる「セキュリテ被災地応援ファンド」。2万7千人以上が、11億円強の資金を東北の36社に対して調達した。

 また日本発のクラウドファンディングサイト「READYFOR?」や寄付サイトの代表格である「JustGiving」も、応援したいプロジェクトや団体に500円、千円といった小額で参加できた。いずれも小さな力を数多く集めることを特徴とするが、復興支援への熱が冷めつつあるいま、その力がインパクトを生むことが難しい。結果として生まれてきているのが、強い意欲を持つ者同士を「1対1」でつなぐ取り組みだ。

 岩手県の産学官連携組織「いわて未来づくり機構」は、復興支援サイト「いわて三陸 復興のかけ橋」を通じて、復興に向けて歩む人と支援したい人をつなげる。例えば山田町の地域拠点「フリーカフェ」には、飲食サービスに利用するコーヒー豆の提供元としてスターバックスコーヒーを紹介した。1対1で向き合うことで、中長期的な関係を築けることがポイントだ。

 グーグルが中心となって進めている「イノベーション東北」は、東北の事業者や団体と、必要なスキルを持つ支援者をつなげる。被災地7拠点(13年7月時点)にコーディネーターを置いていることが特徴だ。今までは支援を求める事業者が自ら立候補することが多かったが、現地に根ざしたコーディネーターが需要を発掘する、いわば推薦方式となっていることで支援先の広がりが見込める。

 両者とも、そのプラットフォームは中長期的に用意されたもので、いつでも関われるという点も新しい。震災から2年以上が経ち、復興は短期間では展開しないことを学んだ結果、より少人数で長い期間続けられるマッチングサービスを生んだといえる。

グーグル社イノベーション東北のウェブ上ではコーディネーターの面々が紹介されている

グーグル社イノベーション東北のウェブ上ではコーディネーターの面々が紹介されている

文/RCF復興支援チーム・藤沢烈

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