福島県浪江町の事例に学ぶ 自治体のマンパワー不足 解消へ向けた民間人員の活用【後編】

職員インタビュー① コンサル・学習塾経験を活かして住民対話を進める

ふるさと再生課 津波被災地対策係 管野 孝明さん


東京で12年間建設コンサルタント会社、8年間学習塾で勤めた後、震災後生まれ育った福島県川俣町へ帰郷。2012年11月より浪江町復興推進課で勤務開始し、今年4月より現職。

 業務は津波被災地の復興ということで、柱は大きく2つです。一つは住宅再建の促進。津波で自宅を失くされた約600世帯の方を対象とした、防災集団移転(高台移転)の計画づくり、合意形成です。もうひとつは、土地利用の検討。津波浸水地域にどのような施設やインフラを整備するのか。課題はありますが、町としての方向性が見えてきているので、住民の方々と議論をすすめます。

 非常に難しいのは、全国に離ればなれに避難している住民の方々とのコミュニケーションです。福島県内の方もいれば、九州や北海道にいる方も。その情報や温度の差を埋めることを考えながら進めていく必要があると思います。一箇所に集めてという形よりも、時間はかかるかもしれませんがひとり一人との対話を積み重ねる大切さを感じています。

 業務にあたっては、今までの経験が生きています。例えば以前ダムの調査や設計をしていましたが、何も無い所から、場所を選びその他に効率的に価値のあるものをつくっていくというプロセスは重なるものがあります。また学習塾で子供たちや保護者と行ってきたコミュニケーションの経験は、現在非常にデリケートな状況の中で対話を進める上で非常に役立っていると感じます。

 自身はたまたま隣の川俣町出身ですが、ふるさとに対しての想いが強い。ふるさとを失いかけている人がいるというだけでなんとも言えない気持ちになります。どのような形になるかまだ分かりませんが、浪江町のふるさとを取り戻す仕事に携われるのは誇りに思っています。

職員インタビュー② 新しい社会づくりに関わるやりがい

復興推進課 復興企画係 陣内 一樹さん(じんのうち)


大学卒業後6年間NECに勤務。会社、浪江町、復興庁と調整の上、今年4月よりNECから復興庁へ出向する形で浪江町で勤務開始。復興庁を介した企業派遣の先進事例となった。

 昨年秋にできた復興計画では、約400の施策が記載されています。その計画の進行管理を行うのが自分の仕事です。外部からのコンサルタントを入れるのではなく、多くの住民の方とともに膨大な時間の対話を重ねてつくりあげた復興計画です。役場内での進行管理も当然必要ですが、住民の方々に対しても適宜進捗を共有して行くことも大切です。

 NECでも事業管理を行っていたので、自身の経験と近い業務がアサインされました。見える化を進めながら必要アクションを明確化すること、決定プロセスの仕組み化や部署を超えた横連携を促すことなど、やらなくてはならない事は一緒です。役場と民間企業で当然違いもありますが価値を出して行きたいです。

 すぐに直面したのは、東京や民間企業との様々な違いです。以前は目標とするターゲット数字は明確で、実施にあたってはスピード感が強く求められた。ビジネスの判断の多くは数字をベースにできた。ただしここでの仕事は、進むべき道も明確にしきれないところがあるし、見ている町の未来は5年10年先のもの。コミュニティとしてさまざまな人間関係もある。どちらが良いというのではなく、文化が違う。一律にビジネスのしくみを持ってくるのではなく、いかに双方がフィットする形で復興を前に進められるのか、大きなチャレンジです。

 福島や東北で、新しい社会づくりに関われるのは大きなやりがいです。行政はどういう存在であるべきかなど日々考えていますが、顕在化していないだけでいずれ他の自治体にも求められるような仕組みづくりだと感じています。

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