産業振興策どのように?起業やチャレンジを促し地域の内発的成長を

グループ補助金800億円の拡充へ

被災企業への支援策の中でも中心的役割を果たしてきたグループ補助金について、継続と拡充の要望が高まっている。国は26日、予備費を財源とした緊急経済対策を閣議決定。復興関連費として、福島県の立地補助金約400億円とあわせ、グループ補助金に約800億円が計上された。

グループ補助金は、国と県があわせて最大75%の再建経費を助成するもの。昨年6月の一次から今年8月の五次まで、合計329グループ5千779事業者に対して2千907億円(うち国費1千936億円)が助成されていたが、六次以降の実施については詳細が未決定だった。

岩手県宮古市の事例

震災直後から迅速な支援策を次々と打ち出し、事業者の復興が進んでいる岩手県宮古市。被災した1千154事業者のうち7割以上が事業再開もしくはその見込みがある状態だ。五次グループ補助金では、岩手県で最大となる111事業者の「いわて宮古街なか商人グループ」が採択された。市内の商店街を中心とした小売り・サービス業者たちで、産業振興に加え、地域通貨を導入するなど地域コミュニティ再生にも力を入れている。

グループ補助金が再建支援の中核となる一方、それだけに頼らない施策の重要性を話すのは、宮古市産業振興部の佐藤日出海部長だ。 「元に戻すだけでない発展的成長のためには、地元の人や企業が新たなチャレンジに取り組むための環境が必要」として、「内発的成長プログラム」が重要だと言う。

各県における1次~ 5次までの補助件数と補助金額

いまできる施策を多方面から実施

宮古市産業振興部 佐藤日出海部長

宮古市産業振興部 佐藤日出海部長

グループ補助金の対象にならないような小規模な取組みに対しては、経費の最大80%を助成する「産業振興補助金」を整備。1月、4月、7月と3度にわたり事業者およびNPOに対して新規事業の創出や地域の連携と活性化のための助成を行った。

新規事業創出へ向けては、あわせて設備貸与や創業者家賃などに対する補助制度を用意した。また11月には被災地の人材育成を行う「夢の国東北プロジェクト」とのタイアップによる『起業家スクール』を開催するなど、補助制度に限らない支援を行っている。外部への発信においても、震災前から東京の「目黒さんま祭り」との協力関係を築いており、9月には6千匹のサンマを提供し宮古の産物をアピールした。

宮古市は自治体の中でも珍しく、産業支援センターが市の中に設置されている。「予算要求ができる立場で現場感を持って動くことで、スピーディに動くことができた」と佐藤氏。防潮堤や土地のかさ上げ、区域整理などの詳細が未確定な中、産業復興は根本的には大きな課題を抱えている。こうした状況下でも可能な施策を行政と民間が一体となって行う意味は大きいだろう。

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