【Leaders Interview】(株)臼福本店 臼井社長

インタビュー先:臼井 壮太朗さん
株式会社臼福本店 代表取締役社長

株式会社臼福本店 代表取締役社長 臼井 壮太朗さん

株式会社臼福本店 代表取締役社長 臼井 壮太朗さん

気仙沼の復興の状況はどうでしょう?

港の復旧が進んでいません。気仙沼の基幹産業は水産業で、関連業態を含めると従事者は7割にのぼります。港に船が入り、そこから船の整備や、加工、輸送、観光などの周辺産業が広がってこの町の産業がつくられています。復旧はスピードが命、遅れるだけ衰退します。今事業を再開できている被災事業者は大手が大半で、中小はまだまだ。私の周りにも泣く泣く事業を閉じる取引先が出てきています。

仕事は、生きる希望です。長期で続けられる仕事は少ないため、元あった仕事に戻る事が一番です。失業手当などの補助で先延ばししても本質的に意味はありません。浸水地域には建設制限がかかっており、事業を再開したくてもできないといった課題もありますが、とにかく港の復旧が気仙沼の産業再生の第一歩となります。

産業再生とあわせ、食育の大切さも発信されています

今回の震災で、忘れかけていた大切なことに改めて気づかされました。その1つは食の大切さです。災害直後、衣服も住居もなんとかなりましたが、食だけはそうではありませんでした。人は、食べなくては生きていけないのです。

しかしその食を支える一次産業は近年軽視され、衰退してきました。多くの輸入食材が店頭に並ぶようになりました。自然から命を頂く尊い業を、若い世代が誇りを持って続けられるよう、土台を築きたい。そのために、食育に力を入れています。食を通じて地域や産業を学ぶことで、町や一次産業への親しみが生まれ、町の再生へとつながっていくのです。

まちづくりのビジョンは?

基幹産業である漁業を中心としたまちづくりを進める必要があります。当社の船は遠洋漁業で世界中の港、ウォーターフロントを見てきました。世界のウォーターフロントには3つの顔があります。水揚げする漁船の横で、コーヒーをすする労働者で溢れる朝の顔。シーフードを楽しむ観光客でにぎわう昼の顔。そして、漁船の光と街灯、店の光に照らされ人々が酒を飲み交わしている夜の顔です。こうした、地元の人も、外から訪れる人も元気に集う町の姿をイメージしています。

そこに、「食と学びの町」として外に発信する力が加わることで、産業の再生、食育、まちづくりが一体となった新たな気仙沼が生まれていくと信じています。

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