ふくしまを生きるvol.6 未来を考える芋煮会ワークショップ

  たくさんの意見やアイデアが書かれた、テーブルの上の模造紙

たくさんの意見やアイデアが書かれた、テーブルの上の模造紙

「芋煮会」。福島や東北の一部ではなじみの深い秋の恒例行事だが、これを冠した「芋煮会ワークショップ」というものが行われている。主催するのは、東日本大震災復興支援財団。

この「芋煮会」には二つの意味がこめられている。一つは、「芋煮」はいろいろな食材が入って一つの味になる、それと同じようにいろいろな人の知恵や考えを持ち寄って復興につなげようという想い。そしてもう一つは、「1日も早く、河原で芋煮会のできる福島を取り戻せるように」。

今回は、6月23日、福島市で2度目の開催となった芋煮会ワークショップの模様をお伝えしたい。

テーマは、「未来のために今、解決したいこと」。行政、NPO、教育関係者、町内会長など、地域のリーダー的存在の人々を中心に60人が参加した。

ファシリテーターの進行のもと、4~5人のグループに分かれ、テーマについて話し合う。テーブルの上には大きな模造紙が広げられており、話し合いの内容や気づいたことを書き留めたり、落書きをしたりしてもいい。自由なアイデアが浮かぶ仕掛けだ。

話し合いの中で圧倒的に多かったトピックは「除染」だった。「10年後の未来と言わず、今すぐ」という声もあり、放射能汚染という問題を抱える福島にとって、これは避けて通ることのできない大きな課題なのだということを実感させられた。

「今から踏み出してみたい小さな一歩は?」という最後の問いには、除染の他、「子どもの保養」「魅力的な街づくり」「福島からのメッセージの発信」と、やはり原発事故・放射能被害に関連する課題が多かった。

とはいえ、例えば原発に対しても、賛成・反対と、人によって意見は分かれる。ワークショップというのは、そのような意見や立場の違う多様な人々が、解決のための方向性を共に探っていく場なのだ。

対立ではなく、「協力的な話し合い」。これこそが、さまざまな局面で分断されている福島の人々にとって、今もっとも必要とされていることに違いない。

(取材・文/遠藤惠・ふくしま連携復興センター)

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