編集後記vol.9

今回お邪魔した玄界島では、ご厚意で島の方々と公民館で一緒に夕食を頂いた。

運ばれて来たのは、特大のかんぱちの刺身、鯛の塩焼き、煮魚のまぜご飯。既にもう食べきれない量だったが、時間差であら煮、みそ汁にもずく酢が運ばれる。たまらなく美味いが食べきれない、でも勧められる、じゃあもう少し。お約束の幸せ問答を重ねた。

中でも感動したのはもずく。前に座った若い漁師さんが採って来たというそれは、沖縄ものの半分以下の細さで、ぷちぷちともシャキシャキともつかない絶妙な歯ごたえ。波が高く養殖ができないというこの島のもずくは、全て天然もの。ずっと採れなかったのが、昨年から採れるようになったと聞き、幸せが増大した。

贅沢な肴達を全て食べ切れないまま、酒は進み、夜は更けていった。先の漁師さんに息子ができたら継いで欲しいかを聞いてみた。「その時の状況次第だけど、魚の値も落ちてきて儲からないからなあ」。

漁業者の厳しい現実は、東北だけのものではない。なぜ東京で美味しい魚を食べられるのか、そしてなぜ魚の値は落ち、漁業者は仕事を続けられないのか。他人事ではない。自然からの宝をこれからも享受できるよう、自らも考えていかねばと改めて感じた。(Y)

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