ふくしまを生きるvol.4 南相馬復興のために、「立ち上がって、まず歩こう」

「フロンティア南相馬」代表理事の草野良太さん

「フロンティア南相馬」代表理事の草野良太さん

福島県内で、震災後いち早く設立されたNPOがある。若者を中心に活動する「フロンティア南相馬」だ。福島県の浜通りに位置する南相馬市は、市の南部が福島第一原発から半径20キロ圏に重なる。震災直後の被災地はどこも生活物資が欠乏したが、とりわけ南相馬市は一部が警戒区域に指定されるなどにより交通網が遮断された。そこで現在代表理事を務める草野良太さんが、仲間たちと避難所などに支援物資を届ける活動を始めたのがきっかけだった。

震災直後の3月14日から物資のマッチングに奔走。だが、個人で動くには限界があることを痛感し、4月1日にNPOを立ち上げた。

物資のニーズが一段落した後は、地元の農業者と協力し、ゴーヤの苗を広める「緑のカーテン」プロジェクトを展開。さらに外遊びができない子どものために、放射線量の少ない地域へ親子で出かける遠足などを企画・実施してきた。

草野さんは、昨年「秋の遠足」のとき、3時間飽きることなくトランポリンをし続ける子どもたちを見て「そんなに外で遊ぶことに飢えていたのか」と愕然としたという。

「子どもたちは毎日、『お外はバイキンいっぱいあるからダメだよ』と言われて暮らしています。原発事故は、子どもがのびのび育つ環境を奪ってしまった。子どもの未来のため、南相馬のために、責任ある地域の大人として、できることは何かを考えていきたい」。

地域おこしのためにオリジナルTシャツをつくり、WEB通販「復興デパートメント」にも出店している

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現在、子ども支援を中心に、地域おこし、IT関連を加えた3つの活動を柱に据える。事業内容にはメンバーの得意分野が活かされており、例えばITを駆使して、小学校の通学路の放射線マップを作成したこともそのひとつ。メンバーは放射線取扱主任者の資格も取得したという。

放射線の問題や生活の再建、がれき処理など、復興への課題は多い。しかし、「いつまでも支援頼みではいられない。自分たちで歩き出すための基盤をつくることが大事」と草野さん。その役割を担うのが、フロンティア南相馬だと考えている。

【ホームページ】http://www.frontier-minamisoma.org/

取材・文/ふくしま連携復興センター・遠藤 惠

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