[おいしい復興] 4Cに「美味C」が加わった食べるダイヤモンド

カット、クラリティ、カラット、カラー。永遠の輝きと称され、婚約指輪の定番であるダイヤモンドは、4つのCでその価値を評価される。

解凍後、レンジで数分温めるだけでホタテ祭りに参加できる手頃さも魅力的

解凍後、レンジで数分温めるだけでホタテ祭りに参加できる手頃さも魅力的

五篤丸水産のホタテグラタンを食べながら、ふと婚約指輪を選んでいた頃を思い出したのは偶然ではない。

宝石箱のような貝殻の上には、岩手県山田町産の厚さ3センチ、プリップリで特大カラットのホタテが贅沢に3つも使われている。クリーミーなホワイトソースとチーズが少し焦がされているのは、絶妙なカラーで食欲をそそるのはもちろんのこと、白ワインとの相性を抜群にしているというところも見逃してはならない。どこをすくってもスプーンの上にはホタテの筋肉、貝柱がゴロゴロと乗っかり、そおっと口に運ぶと口の中に海が広がる。

山田町で育ち、これからも、山田町で生きていく。震災後、そんな5人の有志が集まり五篤丸水産を立ち上げた。社名には、火鉢の五徳のように山田を支えていきたいという5人の想いと、新たな船出の意味が込められているという。自然界に存在する物質の中で最も硬いと言われるダイヤモンドのように、このホタテグラタンは5人の固い絆の結晶だ。最高グレードの4Cに美味C(おいしい)も加わり、その輝きはいつまでも色褪せない。

「おいしい復興」のコラムを始めて早2年半、連載は12回を数える。東北の魅力的な食べ物たちは、私のカラットのグレードを確実に上げ続けている。贅肉のグレードだけは落としていきたいが、険しい道のりが続きそうだ。(K)