300年の歴史を、新たな場へ。大堀相馬焼・KACHI-UMAプロジェクト

震災以降立ち上がった東北の団体のリーダーの元に、若手経営人材「右腕」を3年間で約200人派遣してきた「右腕派遣プログラム」。東北で活躍する「右腕」とリーダーのインタビューを紹介します。

写真提供:株式会社ガッチ

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日々の生活に根付いて発展してきた日本の陶器。有田焼、九谷焼、益子焼など、全国に焼き物の街が誕生してきました。

東北最大の生産地であった福島県浪江町の大堀相馬焼(おおぼりそうまやき)は、300年以上の間親しまれてきました。 その伝統の技とモダンが組み合わさった、KACHI-UMAの商品はこちら。

伝統的な大堀相馬焼の「走り駒」 写真提供:株式会社ガッチ

伝統的な大堀相馬焼の「走り駒」 写真提供:株式会社ガッチ

大堀相馬焼の特徴は左を向いている馬、「走り駒」の絵。描かれる馬は全て左向きの「左馬」で、「右に出るものがいない」という意味から縁起が良いとされます。

そんな、めでたい「左馬」にあやかったKACHI-UMA(勝ち馬)というブランドは、10名のクリエーターが「明日を駆ける」をコンセプトにデザインした湯呑みを扱っています。

絵本作家のたかいよしかず氏によるかわいらしい左馬も人気だそう。写真提供:株式会社ガッチ

絵本作家のたかいよしかず氏によるかわいらしい左馬も人気だそう。写真提供:株式会社ガッチ

ファッションデザイナーや、建築家による個性豊かな湯呑みは、開業祝いや、就職・入学祝いのギフトに、受験などの験担ぎのために選ばれることが多いそうです。


大堀相馬焼

写真提供:株式会社ガッチ

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大堀相馬焼には、先に挙げた「走り駒」に加え、「青ひび」と、「二重焼(ふたえやき)」という特徴があります。

「青ひび」は、器の素材と釉薬との収縮率の違いによってできます。窯出しの時に陶器が外気に触れて生み出される音をKACHI-UMAのウェブサイトで聴いてみてください!癒されますね。

写真提供:株式会社ガッチ

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「二重焼」は、持っていても熱くない、冷めにくいという構造になっています。

大堀相馬焼は江戸時代に相馬藩によって保護され東北最大の生産地になり、1978年に国の伝統的工芸品としての指定を受けました。

ひとつひとつずつ職人の手によって作られます。 写真提供:株式会社ガッチ

ひとつひとつずつ職人の手によって作られます。 写真提供:株式会社ガッチ

KACHI-UMAプロジェクトは、窯元の四代目である松永武士さん、マーケティングに精通した西道広美さん、クリエイティブディレクターとして活躍されてきた寺内ユミさんがチームとなり、大堀相馬焼の新しいブランド作りの第一弾として2014年1月にリリースされました。

KACHI-UMAプロジェクト以外にも、宮城県の雄勝(おがつ)硯とコラボしたこちらの食器も気になる一品です。

大堀相馬焼×雄勝硯 写真提供:株式会社ガッチ

大堀相馬焼×雄勝硯 写真提供:株式会社ガッチ

硯や瓦に使われる雄勝石を釉薬にした独特の光沢と色合いで、お料理が更に美味しく見えそう。

これから、大堀相馬焼は300年の歴史がありながら、現状の形態は100年であり忘れ去られた200年を訪ねる大堀相馬焼の源流に迫ろうとするプロジェクトをはじめています。さらにそれを土や釉薬の素材から作るということをするそうです。実はその源流が世界にいける突破口になるそうです。

プロジェクトのリーダーである松永さんは、「持続的に歴史と文化を残していきたい」と語ります。伝統が育まれた土地から新たな土地へと根付いていく大堀相馬焼。松永さんたちの動きから目を離せません。

松永武士さんへのインタビュー記事「原発事故で失われかけている伝統工芸を、福島から世界へ」

書き手:馬場加奈子 写真提供:株式会社ガッチ

記事提供:みちのく仕事(NPO法人ETIC.)