復興特区の認定始まる

税制優遇で企業を誘致

震災で職を失った人々の雇用の受け皿として「震災復興特区」に期待が集まっている。政府は被災地の復興を規制緩和や税制優遇で支援する復興特区の第1号として、岩手県が申請した「保険・医療・福祉特区」と宮城県の「民間投資促進特区」を認定した。

岩手県の保険・医療・福祉特区は病院への医師の配置やリハビリ施設の設置要件を緩和し、被災地の医療サービスの確保を目的とする。

宮城県の投資促進特区は県内34の市町村に法人税などを減免する「復興産業集積区域」を設けて企業の進出を促す。自動車や電子部品など8業種が対象で、域内での設備投資費用を税金から控除するほか、津波被害を受けた沿岸部で新たに事業を始めた企業は税金を5年間免除する。

認定を受けた2つの特区に加え、青森県は「生業(なりわい)づくり復興特区」、岩手県は2件目となる「産業再生特区」を申請中。いずれも税制優遇による企業誘致を目指しており、青森県は震災によって解雇された970人を上回る、1000人の新規雇用を申請計画に盛り込んだ。

震災関連の倒産件数592件
雇用創出にスピード求める

 復興特区で税金の減免を受けるには、特区認定を受けた自治体に申請して指定を受ける必要がある。5年間の免税は特区内に本社を設けることが前提。支店や営業所は対象外だが、100%子会社は対象に入る。設備投資費用や社員への給与支払いの一部に対する税額控除は、本社が特区内にない場合でも指定を受けられる。

 東京商工リサーチによると、2月7日までの震災関連の倒産件数は累計592件。阪神・淡路大震災の関連倒産が発生から12カ月目で累計144件だったのと比べて4・1倍のペースで推移しているという。沿岸部では津波で会社資産や関係書類が流失し、法的手続きができないまま休・廃業状態にある企業も多い。

被災地の雇用創出にはスピードが求められている。津波被害を受けた沿岸部で特例延長されていた失業手当の支給は、1月から期限切れが始まった。企業と求職者を円滑に結ぶ人材マッチングの仕組みなど、受け入れ側の自治体の体制整備も欠かせない。

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